ベイシステックが米国の舶用システムベンダー「LOOKOUT」の製品説明会を開催。カメラ映像、レーダー、AIS、ソナーなどの多種多様なセンサーを統括し、COLREGに沿って衝突を避けるための避航を提案できる運航支援コアを紹介した。
ベイシステックは2025年9月18日、米国の舶用システムベンダー「LOOKOUT」の製品説明会を東京都内で開催し、カメラ映像、レーダー、AIS(自動船舶識別システム)、ソナーなどの多種多様なセンサーを統括し、COLREG(国際海上衝突予防規則)に沿って避航(衝突を避けるための操船)を提案できる運航支援コアを紹介した。
現代の船舶の操船室には、レーダー、AIS、電子海図、深度計などさまざまな計器が並ぶ。これは大型船舶だけでなく小型船舶でも同様の傾向だ。しかし、これらの計器の情報は個別に提示されるため、当直者は航行しながら重要度(=危険度)の評価と示される情報の統合を頭の中で行う必要がある。米国沿岸警備隊の統計では、このような“認知負荷”に起因する不適切な見張りは依然として事故要因の上位と報告している。LOOKOUTはこの問題を正面から捉え、機器側で統合した“状況認識レイヤー”をベースに、リスクの検出から警報、さらには避航操船への連携までをワンストップで対処することを目的としている。
LOOKOUTの中核は、画像認識(可視光/赤外)、AIS、レーダーARPA(自動衝突予防援助装置)、ソナー、各種航海情報入力を統合データストリームへ束ねる「Data Fusion 360」だ。検出(Detection)と追跡(Tracking)をリアルタイムに実行し、フレーム間でインスタンスIDを維持して“見失い”に強いトラッキングを実現した。小さな対象でも15〜20ピクセル規模で認識し、30cm級の浮遊物や数百m先にある3m級小型船まで捕捉できるという。
さらに、単眼深度による距離推定(誤差1m未満)、天候や波で周期的に隠れる目標を明確に認識できるようにした上での脅威対処優先度評価(衝突確率をベースに算出)など、航海特有の“難所”に合わせたアルゴリズムを導入している。処理速度は30fpsとリアルタイムでの対応が可能だ。
夜間航行においても、赤外線カメラと機械学習モデルの組み合わせで昼間航行と同等の障害物検出を可能とする(実際の視認性は艤装[ぎそう]や環境に依存)。説明会では横浜港やボストンでの実証航海における実撮映像も交え、暗所での“見える化”が導入の決め手になると強調した。
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