田中貴金属工業は、300℃前後の低温領域で使用できる、パラジウム合金水素透過膜を開発した。約300℃という低温で水素を精製可能で、追加の加熱設備を要せず、加熱工程における設備の酸化を抑制できる。
田中貴金属工業は2025年9月12日、300℃前後の低温領域で使用できる、パラジウム合金水素透過膜(PdCu39)を開発したと発表した。
同社は今回、パラジウム含有率61%、銅含有率39%のPdCu39に着目。PdCu39は、面心立方格子構造を持つfcc相が少しでも混在すると水素透過性能が低下し、体心立方格子構造のbcc相にすることが困難だった。同社独自の熱処理法を活用することで、完全なbcc相を形成し、高い水素透過性能を発揮できる。
また、高純度な水素精製には、メタノール水から生成した水素ガスを水素透過膜で精製する方法が一般的だ。しかし、水素生成時の温度は300℃前後であるのに対し、従来の水素透過膜の性能を発揮する温度は400℃以上だった。
同製品は、約300℃という低温で水素を精製できるため、追加の加熱設備を要せず、加熱工程における設備の酸化を抑制できる。電力とCO2などのエネルギーコストの削減や水素精製設備の小型化にも貢献する。
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