インターポーザーは半導体の性能向上に伴い、そのサイズが大型化している。しかし、現在主流のシリコンインターポーザーは、半導体チップと同じようにシリコンウエハーから製造される他、ウエハーの直径によって作れるサイズが制限される。微細な配線やビア(貫通孔)を形成するために高度なリソグラフィー技術やエッチング技術も必要となり、製造コストが高くなっている。
一方、有機インターポーザーは、有機材料のパネルを基材として使用する。このパネルは、シリコンウエハーよりも大きなサイズで製造でき、製造プロセスも一般的なプリント基板(PCB)の技術に近い。これにより、製造できるサイズに柔軟性があり、大型化が容易だ。
これらの要因により、シリコンインターポーザーから、有機材料を用いた有機インターポーザーへの移行が進んでいる。
製造方法に関しては現状、円形ウエハーから四角片を切り出す手法が主流だが、インターポーザーのサイズが大型化することで、1枚のウエハー当たりのインターポーザーの取り数が減少するという問題が生じている。この課題に対処するため、円形のウエハー形状から四角いパネル形状(510×515mmなど)へ変更し、インターポーザーの取り数を増加させる製造プロセスが注目されている。
しかし、大型インターポーザーの製造には複数の課題がある。1つ目は、製造における「反り」の発生だ。従来のウエハーレベル(300mm)の製造では、ある程度均一性が保たれていたが、510m×515mmのパネルレベルに大型化すると、製造過程で反りが発生しやすくなる。この反りは、その後のさまざまな工程に影響を及ぼし、生産の安定性を損なう。
2つ目は精密な位置合わせ(アライメント)の困難さだ。パネルが大型化すると、微細な配線を形成する際の位置合わせの精度を維持することが難しくなる。これにより、製造の歩留まりが悪化する可能性がある。
3つ目は材料の均一塗布の課題だ。ウエハーレベルでは均一に塗布できていた液状の材料も、大型パネルになると、面内での均一性を保つのが難しくなる。
4つ目は費用とスピードの問題だ。このような技術的課題を解決し、大型パネルの製造ラインを構築するには、材料メーカーや装置メーカーが個別に多額の投資を行う必要があり、経済的な負担が大きくなる。研究開発にも時間がかかり、技術革新のスピードが鈍化する恐れがある。
阿部氏は、「これらの課題は、1社だけでは解決が難しく、製造プロセス全体を通して研究開発を行い、技術を確立する必要がある。JOINT3は、これらの課題を共有し、複数企業が協力して解決することで、研究開発を加速させることを目指す」と強調した。
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