レゾナックが国内外の27社と連携し、新たな共創プラットフォーム「JOINT3」を設立した。このプラットフォームは、パネルレベル有機インターポーザーという次世代技術の開発を加速させ、半導体産業の未来をどのように変えるのか?
レゾナックは2025年9月3日、東京都内で記者会見を開催し、日本や米国、シンガポールなどの半導体材料/装置メーカー、設計企業の27社から成る共創型評価プラットフォーム「JOINT3」を同年8月に設立したと発表した。
JOINT3において、レゾナックは、技術開発テーマの取りまとめ、試作ラインの設備の運営などを行うとともに、参画企業との共創により、パネルレベル有機インターポーザーに適した材料開発を推進する。
レゾナック・ホールディングス 代表取締役社長 社長執行役員 CEOの高(正確にははしごだか)橋秀仁氏は、「AI(人工知能)や自動運転の急速な普及により、半導体技術の高度化/複雑化が求められている。その一方で、半導体業界はGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon.com)などの参入によりグローバルな競争が激化し、大きな転換期を迎えている。特に、後工程の先端パッケージ技術には革新が必要とされており、その実現には多くの装置や材料の精密なすり合わせが不可欠だ。JOINT3は、この技術的課題を解決するための鍵であり、各社の強みやノウハウを結集し、互いに補完関係を築くことで、これまでの限界を超えた領域に挑戦していく場だ」とあいさつした。
近年、市場が拡大している生成AIや自動運転向けの次世代半導体では、ウエハー上に回路を形成する前工程の微細化が限界を迎えつつあり、後工程のパッケージング技術によるチップの高集積化が注目されている。中でも、複数の半導体チップを並列に配置し、インターポーザー(中間基板)を介して接続し実装した2.5Dや2.xD、3Dのパッケージは、データ通信の容量増加、高速化に伴い、需要が拡大する見込みだ。
レゾナック エレクトロニクス事業本部 副本部長の阿部秀則氏は、「従来の半導体パッケージは、マザーボードという大きな基盤の上に、メモリやプロセッサがそれぞれ独立して搭載されていた。メモリとプロセッサは、マザーボードを介して情報をやりとりしており、この伝達経路は比較的長く、電気信号の遅延が発生しやすい。先端AI半導体向けの2.5Dや2.xD、3Dのパッケージは、複数のチップ(プロセッサ、HBMなど)が、インターポーザーと呼ばれる専用の基板の上に高密度に集積される。HBMという積層メモリが、シリコン貫通電極(TSV)を用いて垂直にスタックされる。そして、このHBMとGPUなどのプロセッサが、インターポーザーを介して接続される。これらにより、電気信号がマザーボードを経由するよりもはるかに短い距離でやりとりできるようになる」と説明する。
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