JX金属は、独自に開発した低品位の銅鉱石から銅を回収する技術「JXヨウ素法」について、丸紅と共同で営業活動を開始する。
JX金属は2025年8月8日、独自に開発した低品位の銅鉱石から銅を回収する技術「JXヨウ素法」について、丸紅と共同で営業活動を開始すると発表した。
今回の共同営業では、丸紅が有するクロスボーダーなネットワークを活用し、銅の最大生産国であるチリをはじめとする各国の鉱山会社に対して、ライセンス供与や導入サポートによる適用拡大を進めていく。
JXヨウ素法は、従来技術の湿式製錬方式「ヒープリーチングSX-EW」にヨウ素を添加することで触媒的な作用を起こし、低品の初生硫化鉱から銅を回収できる技術だ。ヒープリーチングとは、破砕した鉱石を堆積(ヒープ)した後、希硫酸を散布し、銅を浸出(リーチング)させ回収する方式を指す。
近年、既存銅鉱山では鉱石中の銅の低品位化が進行し、安定供給への懸念が高まっている。新規銅鉱山の開発も進められているが、奥地化と高地化に加え、環境保全や地域社会との共生の観点から、持続可能な形での開発が求められている。さらに、年単位の開発期間がより長期化する傾向もあり、これらの要因が、銅を安定供給する上での課題となっている。こうした状況の中、銅の安定供給に向けて、未利用資源の有効活用に対する関心が高まっている。
この解決策としてJX金属は、従来技術に比較的簡便な追加設備のみで、未利用資源とされている低品位の初生硫化鉱から銅を回収できるJXヨウ素法の特許および操業ノウハウを保有している。
同社はこれまで、世界知的所有権機関(WIPO)が運営する環境関連技術交流の枠組み「WIPO GREEN」のデータベース登録をはじめ、同技術の普及を進めてきた。今回は、その適用をさらに加速/拡大させることを目的に、丸紅と共同で同技術の導入提案を行うことで合意した。
JX金属の資源事業では、今回のようにアセットライトなビジネスであるライセンス/技術供与の取り組みを今後も継続して行っていく予定だ。
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