今回の本題は、シーケンス図から開発対象を確認することです。図6にシーケンス図を使ってECサイトのやりとりを示します。
図6から、ECサイトの登場人物は、以下の6人(個)であることが分かります。
処理は、大まかに分けて下記の3つになります。
結果として、今回の開発対象は、「ブラウザに表示する画面」「サーバ」「ECサイトのプログラム」「データベース」です。ただし、店員は人間なので作成対象外とし、配送会社は別システムのため同様に、作成対象外とします。
物事の全体像を考える上では、文書以外にも図で表すことが効果的です。例えば、会社組織ならば、社長という司令塔に対して、各部の部長、係長、一般社員がつながって仕事をしています。
ソフトウェア開発の世界でも、複雑な開発対象をモデル化することで、開発対象の全体像を把握できます。今回は、シーケンス図を使用し、ECサイトの登場人物と処理の流れを示し、開発対象を洗い出しました。
文章を中心で物事を考えることも大事ですが、図に表すテクニックを身に付けると便利です。読者の皆さんもプログラミング演習の際に、簡単な図を書いて頭の中を整理する習慣を身に付けるとより良い学習につながるでしょう。
[1]「[改訂版] UMLモデリング技能認定試験<入門レベル(L1)>問題集 -UML2.0対応」(竹政昭利、2007、技術評論社)
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人間環境大学 環境情報学科 教授(工学博士)
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