モデリングには、さまざまな表記技法があります。図2によく使う一般的な記述方法を5種類示します。
図2は、代表的なモデルの記述方法をまとめたものです。フローチャート、状態遷移図、クラス図、シーケンス図、DFD(データフローダイヤグラム)などは、資格試験の勉強で目にしたことがあるかもしれません。これらの図は、過去の偉人や優秀なエンジニアが考案したもので、状況に応じて使い分けます。
過去の偉人や優秀な技術者が考案した図にとらわれる必要はありません。大切なことは、「自分の頭の中を整理すること」「相手に伝えやすくすること」です。例えば、組み込み系のソフトウェア開発では、機械、電気、制御、材料など、さまざまな分野の人と話すことになるでしょう。この際、「これは状態遷移図です」と見せても、必ずしも意図が伝わるとは限りません。相手の反応を見ながら、どの図を使うか考えてみるとよいでしょう。
今回の目的は、ECサイトの開発対象を把握するべく、シーケンス図をチョイスします。
シーケンス図とは、登場人物同士のメッセージのやりとりを、時系列に沿って表現する図です(図3)。
図3は、シーケンス図の各要素を表したものです。後述するライフライン、送受信メッセージをこの記法で表します。
四角い箱と縦長の棒は、「ライフライン」と呼び、オブジェクト(登場人物)が存在している時間軸を縦の線で表します。これは、会社組織における役職や部署に当たります(図4)。
プログラミングの場合は、ユーザー、クライアントPC、ECサイト、サーバ、オブジェクト、関数、メソッドなどに相当します。自分が着目したい登場人物だと考えましょう。
ライフラインは、登場人物が動作する時間を表します。また、登場人物同士をつなぐ矢印の線を「メッセージ」と呼びます(図5)。
会社の組織で言えば、指示は社長から一般社員へ出し、報告は一般社員から上司に挙げて、社長へ到達します。
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