図3はimaoCardに当たる上側のブレッドボードを裏面から見た状態です。
imaoCard裏面の上下に2つある黒い端子は24ピンのICソケットを2つに切って並べたものです。ICソケット2個分ですね。ICソケットの足ははんだ付けしやすいように外側に折ってあります。はんだ付けの位置は、ブレッドボードの表面に書いてある穴の位置を示すアルファベットの数字でいうとB-2~B-26とI-2~I-26に対応します。片側24ピン×2で合計48ピンです。
肝心のはんだ付けですが、新しいブレッドボードであれば裏面の両面テープがきれいに剥がれて苦労することはないのですが、古いブレッドボードだと接着剤が残ってしまいはんだが載りにくくなるので大変です。そんな時は、やすりやサンドペーパーなどで金属面が露出するようにするしかありません。後ははんだペーストやフラックスなどを駆使して頑張って見てください。
本来、ブレッドボードの端子は30列あるのになぜ24ピンなのかという疑問もあるかもしれません。これはimaoPadとアーキテクチャを共有しているためです。このことについては、今後掲載を予定しているimaoPadの記事を読んでいただければ合点がいくことと思います。
図4は上側のブレッドボードであるimaoCardと下側のブレッドボードを接続する際に用いる連結ピンです。
これは、秋月電子通商などで入手できるピンヘッダーです。ピンヘッダーは、ピンの長さがどちらか一方が長くてその反対側は短いものです。それは、一般的なピンヘッダーの使い道が、短い方を基板にはんだ付けして、長い方はソケットに差し込むあるいはブレッドボードに差し込むために使うからです。
今回はこれをimaoCardの連結ピンとして使います。連結ピンの役割は上下2つのブレッドボードが離れないようにつなぎ留めておく役割と、上下のブレッドボードのホール同士を導通させる役割があります。
買ってきたままのピンヘッダーではこの用途に不向きなので、ピンの長さが上下で同じようになるよう加工します。ラジオペンチなどがあると作業がしやすいかもしれません。注意していただきたいのは、ピンの長さにムラがあると、2つのブレッドボードを連結したときに上側のブレッドボードとソケットとの間に隙間ができてしまうことです。一方、下側のブレッドボードに刺さる側のピンの長さはブレッドボードのホールの深さに余裕がありますので、むしろこちらを長めにした方がよさそうですね。
図4を見ると、幾つかピンを抜いている箇所があるのが分かると思います。これは、上下のブレッドボードを電気的につなぎたくないからです。これにより、上側のブレッドボードと下側のブレッドボードで独立して使いたいエリアを確保します。
積層基板の設計経験のある方ならお分かりかと思いますが、連結ピンはいわゆるビアの役割をしています。また半導体設計においても、層をまたいで導通させたい時はビアを通しますよね。
imaoCardは、上下のブレッドボードを連結させることにより回路設計の自由度は上がったのですが、回路を立体的に考えなければならなくなります。少し慣れが必要かもしれませんが、この連結ピンを積層基板や半導体設計のビアの様に使えるようになれば、imaoCardの使い手としてはもう一人前です。
図5は、imaoKidにおける下側のブレッドボードです。
実際のところ、この下側のブレッドボードはただのブレッドボードで種も仕掛けもありません。
搭載されているCPUモジュール基板はArduino pro microです。ずっと以前に購入したものですが、今どきにもかかわらずUSBコネクターがType-Cでないのがイケてないですよね。筆者としてはあまり使い込んだCPUモジュールではなかったのですが、注文したType-CのArduino nanoが届くまでの取りあえずのピンチヒッターです。
今回は、下側のブレッドボードに通常のブレッドボードを用いましたが、これをimaoCardに置き換えればもう1枚その下にブレッドボードを連結できます。3枚目はおろか、imaoCardを用いることでいくらでもブレッドボードを連結できるというわけです。
立体的なブレッドボードの接続を可能にするimaoCardはいかがだったでしょうか。ブレッドボードを積層するアイデアは以前からありましたが(例:積層式ブレッドボード)、それらと比べimaoCardは、ブレッドボードの裏面にICソケットをはんだ付けするだけでそれを実現しているのが特徴です。
imaoCardによって、筆者が夢想していたものをひょんなことから実現できる運びとなりました。これがあればブレッドボードを用いた作例の幅もグンと広がると思います。次回以降も、imaoCardを用いたすてきな作例をどんどん紹介していきたいと思っています。皆さんもぜひ試してみてください。
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