スライドドアの採用には、乗り換えずに長期で保有するハイト系ユーザーを動かす狙いもある。ハイト系は保有台数ベースで国内1000万台の市場だという。新車販売の軸がスーパーハイト系に移行しているが、ハイト系の市場は動きが鈍い。「ハイト系はダイハツだけでなく他社製品もバランスがよく、不満がないので乗り換えないのではないかと見ている。これまでのハイト系をそのままフルモデルチェンジしてもハイト系のユーザーには動いてもらえないだろう。スライドドアや最新の安全装備などで利便性が上がったクルマを届け、ハイト系のユーザーを動かしていきたい」(戸倉氏)
デザインコンセプトは「動く姿が美しい、端正で凛々しいデザイン」で、軽快さや躍動感、凛々しく端正な印象を演出するエクステリアにした。インテリアは、小さいクルマらしくインタフェースをシンプルにまとめた。オーディオの位置を低く設定して視界を広く確保し、安心して運転できる見晴らしのよさを目指した。シートは落ち着いた色合いや素材で仕立ての良さを演出し、居心地の良い空間とした。
後席スライドドアは、ニーズの高まりを受けて全車に採用する(「RS」は両側、「G」とXは左側が標準装備)。降車時に予約しておくとクルマに戻った時に自動で解錠してドアを開けるウエルカムオープン機能や、施錠を予約してスライドドアが閉まり切るのを待たずにクルマから離れることができるタッチ&ゴーロック機能も備える
プラットフォームには、「タント」や「タフト」、ムーヴ キャンバスと同じ最新の「DNGA(Daihatsu New Global Architecture)」を採用した。軽量高剛性な車台、素性を磨いた「KFエンジン」、ターボ車に設定する「D-CVT」により、既存のムーヴから基本性能を大幅に進化させた。ムーヴ専用のチューニングも施し、「毎日の移動だけでなく遠出もしたくなる軽快な走行性能」を目指した。
アクセルスロットル特性の最適化により軽快な走りを実現した他、ターボエンジンとD-CVTによる力強い加速性能を持たせ、ステップシフトによってリニアな加速感を演出する。低速から高速までストレスのない加速性能を目指した。また、バネ定数とショックアブソーバー特性の適合、ステアリング特性の最適化などムーヴ専用の設定により、上質な乗り心地と思い通りに曲がれる操縦安定性を実現した。新型ムーヴのWLTCモード燃費は2WDのNAエンジンが22.6km/l、ターボエンジンが21.5km/lで、いずれも従来モデルから10%改善した。
ムーヴ キャンバスから搭載しているADASの「スマートアシスト」は、衝突回避支援、認識支援、運転負荷軽減、駐車支援など17種類の機能を搭載した。最新のステレオカメラの搭載により、衝突警報や衝突回避支援ブレーキが夜間の歩行者や二輪車の検知に対応した。検知距離や対応速度も向上させた。ブレーキ制御付き誤発進抑制機能も採用し、踏み間違い時の急発進を抑制する。アダプティブクルーズコントロールも採用した。また、後付けも可能なディーラーオプションの装備として、急アクセル時加速抑制システムやブラインドスポットモニターを用意している。RS/Gグレードには電動パーキングブレーキが標準装備となり、オートブレーキホールド機能が利用できる。
最新の「ダイハツコネクト」では、スマートアシストの作動回数を過去7日分表示できる。安全運転を促進する「スマアシレポート」の他、ドアロック忘れやハザードランプの消し忘れをスマートフォンに通知する「うっかりアシスト」も新たに設定した。
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