デジタルツインで工場の操業状況や保全、保安情報を可視化するソリューション発売:製造ITニュース
日鉄ソリューションズは、事業拠点の操業や保全、保安、物流情報を3Dデジタル空間上に一元的に表示できるデジタルツインソリューション「Geminant」を発売した。3次元マップをベースに、全世界の拠点を可視化できる。
日鉄ソリューションズは2025年5月22日、事業拠点の操業や保全、保安、物流情報を3Dデジタル空間上に一元的に表示できるデジタルツインソリューション「Geminant(ジェミナント)」を発売したと発表した。
「Geminant」の画面イメージ[クリックで拡大] 出所:日鉄ソリューションズ
Geminantは、地理情報システム(GIS)で表現された3次元マップをベースに、単一工場だけでなく全世界の拠点を可視化できる。カメラ映像や設備稼働状況、操業計画、実績、トラブル発生状況など、さまざまな情報を表示するため、保安情報の一元化や災害対策、工事シミュレーション、保全作業の効率化、操業運転管理、車両運行管理などに活用できる。
また、過去から現在の時系列に応じたデータ可視化機能を搭載。数理モデルを活用した同社の最適化技術やシミュレーション技術を用いて外部のシミュレーション結果と連携すれば、未来の並行世界も表現できる。
統合データモデルに顧客の業務に関するデータを追加することで、顧客の課題を解決し、要望に応える独自のデジタルツインシステムを構築できる。
現場作業員向けの「安全見守りくん」や製造設備向けの稼働状態監視、予知保全などに関する同社のスマートファクトリーソリューション、製造物に対する現品管理などのデータに加え、顧客企業が保有するデータやツールをGeminantと連携することで、情報や機能を容易に集約できる。
「Geminant」とデータソースとの連携イメージ[クリックで拡大] 出所:日鉄ソリューションズ
例えば製造工程では、中間材や最終材にタグを付けてトレースし、3D映像を用いて工程の状況を一覧表示する。原材料の納期遅延などが発生した際、3Dマップ上で画面を使ってシミュレーション結果が分かるようにできる。
料金は、拠点単位での年間サブスクリプション価格となる。同社は今後、関連データに共通の管理IDを付けてデータベース化する技術、データ間の関連付けを自動化する技術、生成AIで必要情報をガイダンスする技術などで構成される「データシンクロニシティプラットフォーム」への拡張を目指すとしている。
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