荏原製作所がデータベースをクラウド移行、コストを約40%削減:製造IT導入事例
荏原製作所は、200以上のシステムで利用している「Oracle Database」とアプリケーション群を、次世代クラウド「Oracle Cloud Infrastructure」へ移行した。他のクラウドサービスに比べ、データベース基盤のコストを約40%削減できる。
日本オラクルは2025年5月13日、荏原製作所が200以上のシステムで利用している「Oracle Database」とアプリケーション群を、次世代クラウド「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」へ移行したことを発表した。
荏原製作所は、2023〜2025年の中期経営計画において、ERPシステムの全社導入やグローバルITインフラの統合による業務の標準化、効率化を進めている。今回のOCIへの移行は、同計画の実現に向けたIT基盤強化の具体的な取り組みの1つとなる。
今回のプロジェクトで目指したのは、耐障害性に優れた信頼性の高いクラウド環境への移行やスタンバイ環境の新設による高可用性の確保、定期的なパッチ適用作業など運用負荷の軽減だ。さらに、他社クラウド環境で稼働するシステムとの連携を可能にする、マルチクラウド構成の実現も目標としている。
異なるクラウドサービスを比較検討した結果、データベース基盤のコストを約40%削減可能なことなどから、OCIを採択した。移行後は、基幹業務をはじめ、さまざまな業務アプリケーションなどの安定性や柔軟性、コスト効率を向上させると共に、IT基盤の標準化と事業拡大への素早い対応を可能にしているという。
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