繰り返される製造業の品質不正問題。解決の鍵は個人ではなく、組織の在り方、「組織風土」の見直しにあります。本連載では品質不正を防ぐために、組織風土を変革することの重要性と具体的な施策をお伝えしていきます。
連載第3回では、品質不正が起きにくい組織の基盤づくりとして、「心理的安全性」と「理念浸透」の重要性をお伝えしました。心理的安全性はGoogleの研究発表をきっかけに広まった概念であり、それ以来、多くの企業が関心を持つようになりました。しかしながら、実際は心理的安全性を高めることができずに苦慮している企業が多いのが現状です。今回は、心理的安全性を高めるポイントや具体的な実践例について解説していきたいと思います。
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心理的安全性が低い組織では、以下の4つの不安が生じやすいと言われます。
業務上で分からないことがあったとき、「そんなことも知らないのか」と思われないか不安になり、質問がしにくい。
会議などで言いたいことがあっても、「議論の邪魔をするな」と思われないか不安になり、積極的に発言しにくい。
業務で失敗したとき、「そんなこともできないのか」と思われないか不安になり、ミスを報告しにくい。
他者と考えが異なっていた場合、「その意見は違う」と否定されないか不安になり、自分の意見を言いにくい。
このような不安を解消できれば、職場の心理的安全性は高まります。そのためには、職場におけるコミュニケーションを改善する必要があります。4つの不安ごとに、具体的なポイントをご紹介します。
「分からないことがあれば何でも聞いてほしい」「あなたが聞いてくれたおかげで、他の人も質問しやすくなったと思うよ」という声かけによって、従業員に「率直質問」を促します。「何でも聞いていいんだ」と思える組織風土を醸成できれば、無知だと思われる不安は払拭(ふっしょく)できます。
「感じたことを正直に伝えてほしい」「あなたの意見は組織のためになっているよ」といった声かけによって、従業員の「発信促進」を行います。「言いたいことを言っていいんだ」と思える組織風土を醸成できれば、邪魔だと思われるのではないかという不安は払拭できます。
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