「ITmedia Virtual EXPO 2025 冬」において、レゾナック 計算情報科学研究センターMI基盤開発グループプロフェッショナルの清水陽平氏が「レゾナックが素材で挑む月面開発」と題して行った講演から抜粋して紹介する。
アイティメディアは2025年2月12日から3月14日まで、製造業向けの国内最大級のオンラインイベントである「ITmedia Virtual EXPO 2025 冬」を開催した。同イベントで実施されたセミナーの中から、本稿ではレゾナック 計算情報科学研究センターMI基盤開発グループプロフェッショナルの清水陽平氏が「レゾナックが素材で挑む月面開発」と題して行った基調講演を紹介する。
レゾナックは昭和電工と日立化成が2023年に統合して誕生した化学メーカーだ。2024年度の連結売上高は約1兆3900億円、従業員数は約2万4000人。売上高構成比は海外が国内よりもやや大きく、セグメント別では半導体関連が4500億円、モビリティ関連が2100億円、イノベーション材料関連が1000億円、石油化学を含むケミカル関連が5200億円となっている。
同社では、従業員が手上げ制で活動するコミュニティー「REBLUC(Resonac Blue Creators)」を2022年に設立した。REBLUCで、宇宙関連材料を通して社会に貢献したいメンバーが集まり、宇宙材料プロジェクトを立ち上げ、その中で月面開発に向けて「レゴリス物理蓄熱エネルギーシステム」の研究開発プロジェクトが始動した。
REBLUCの一期生の中で、宇宙関連材料を通して社会に貢献したいメンバーが立ち上げたのが、宇宙材料プロジェクトだ。その中から、月面開発に向けた「レゴリス物理蓄熱エネルギーシステム」の研究開発プロジェクトも始動した。宇宙材料プロジェクトは、REBLUC内での活動終了後も事業化を目指して継続して活動しており、最近はREBLUC以外のメンバーも加えて約20人体制となっている。
宇宙材料プロジェクトでは「化学の力で宇宙も変える」という独自のパーパスも定めている。レゾナックグループの化学の力、共創力を集約させ次世代の挑戦的領域である「宇宙社会、月社会の実現」に貢献することを目指す。
同プロジェクトの特徴としては、有志メンバーの取り組みにおいて自律性と規律性を両立させた運営を掲げている。従来のような与えられたテーマをこなすといよりも、高いモチベーションや自由度の高い発想をもとに自ら仕事を作り出すことを重要視する。さらに迅速な意思決定、組織としての方向性を決められるような規律性を併せ持つ体制とした。取り組み方としてはメンバーのパーパスの共有、プロジェクトマネジメントの強化、事業ターゲットの議論、仮想組織として予算の獲得を行っている。2030年には利益が出せる事業へと育っていることが目標だ。
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