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品質不正問題から立ち直るため、三菱電機は組織風土をどう変えたのか品質不正問題(2/2 ページ)

» 2025年03月25日 08時00分 公開
[三島一孝MONOist]
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2025年4月に「カルチャー変革室」設立し、風土改革を常態化

 一定の成果を受け、全社プロジェクトだった「チーム創生」を発展的解消し、2025年4月からは「カルチャー変革室」を新たに設立し、風土改革を常態化させることを目指す。「これまで進めてきた変革を不可逆的なものにする。Changes for the Better, start with MEの精神で終わりなき変革に向けて自走し続ける組織を目指す。従来のメンバーに人事など新たなメンバーも加え、制度に落とし込んでいけるように、一体となって活動を進めていく」と小黒氏は語る。

 こうした動きを踏まえ2025年3月21日には、チーム創生での3年間の活動の成果をまとめ、さらに風土改革の啓発を社内に展開するために、組織風土改革報告会「ME's Culture Day」を三菱電機本社で開催した。ちなみに「ME」は「Mitsubishi Electric(三菱電機)」の頭文字と「me(私)」のダブルミーニングとなっているという。「対面とリモートで1万人が参加した」(小黒氏)としている。

photo 三菱電機本社会場の様子[クリックで拡大] 出所:三菱電機

 会場では、各事業部門での具体的な取り組みをパネルを通じて紹介した他、組織風土改革につながる具体的な取り組みを社員参加型で募集した「あなたの変革エピソード」や「風土改革川柳総選挙」などが実施された。

「あなたの変革エピソード」の紹介(左)や風土変革川柳の作品紹介(右)[クリックで拡大] 出所:三菱電機

「品質不正があったとしても問題認識と初動対応は早まる」

photo プロジェクト発足時にチーム創生によって提出された1034枚にも及ぶ提言書[クリックで拡大]

 3年間の取り組みを振り返り小黒氏は「チーム創生は、社内公募で有志が手を挙げて生まれたプロジェクトであり、参加者一人一人が強い思いを持っていた。そのため、最初は取りまとめて組織化するのが大変だったのが思い出に残っている。大変だったが、三菱電機の中にこれほど志がある人たちがいるということが心強かった」と述べる。

 また、品質不正が発生した際の従来との違いについて、小黒氏は「2つの点で異なる。1つは発生させない仕組み作りという点だ。これは組織風土改革とは異なるが、不正を起こしたくても起こせないデジタル技術などを活用した仕組み作りや、監査を含めた確認方法などの整備を進めている。2つ目が、発生した際の適切な対応という点だ。こちらは組織風土改革でコミュニケーションの在り方を変革してきたことで、問題に対する声を上げやすい環境ができてきた。そのため問題の認識と初動を早く行えるようになっている」と語っている。

 今後はさらに、カルチャー変革室により、エンゲージメントスコアなどの継続的な向上に取り組んでいく方針だ。

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