デロイト トーマツ グループでは、約10年間にわたり関税コストの可視化WebツールのTrade Compassを展開しているが、これらの米国の関税政策に伴い、新機能3つを今春追加する。
Trade Compassは、国際貿易における企業の戦略的意思決定を支援するためのツールで、貿易政策や関税、規制の変動をリアルタイムで分析し、企業にとってのリスクと機会を可視化する。輸出入時の品目や産地ごとに、FTA(自由貿易協定)やEPA(経済連携協定)を活用した短期的な関税削減効果の試算ができる。
これらに加え今回は「追加関税と特殊関税の税率」「関税資産APIの外部公開」「CBAM(炭素国境調整メカニズム)検索機能」の3つを追加する。
追加関税と特殊関税の税率については、米国の関税政策に伴い各国が対抗措置として「報復関税」を検討したり、アンチダンピングや補助金相殺関税など特殊関税を発動したりする動きに対応するものだ。HSコードに基づいた品目のトランプ第2次政権による追加関税や特殊関税の税率などを、簡単に検索、表示できる。
関税試算APIの外部公開については、従来は他のシステムと連携させる際にWebサイトにアクセスする必要があったが、API(Application Programming Interface)を追加して公開し、利用企業のシステム環境に組み込んで直接利用できるようにする。「サプライチェーンマネジメントシステムとの連携などを想定している」(デロイト トーマツ税理士法人 ディレクター 田代公之氏)。
その他、2026年から適用される、EU域内への輸入に関わるCBAM(炭素国境調整メカニズム)に対応し、品目ごとのCBAM対象と対象外を表示する機能なども加えている。「これらの機能を追加したことで、従来の将来関税率分析に加え、関税リスク分析も行えるツールへと進化した」と田代氏は述べている。
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