工作機械をシステムにつなげるユーザー事例が広まってくると、もっと簡単に工作機械とシステムを連携できるようにするために、機械メーカーやCNCメーカーがシステムの提供を始めるようになった。これが製造業向けのIoT(モノのインターネット)プラットフォームといわれるものだ。
その一例として、ファナックが2016年に構想を発表し、2017年から運用を開始したFIELD systemを紹介しよう(図6)。
これは工場内の生産設備からデータを収集して解析を行い、製造現場の生産性向上を支援するシステムだ。
当初は外部通信機能を持つファナックのCNCを搭載した工作機械からのデータ収集のみが可能だったが、その後、ファナックの古いCNCやファナック以外のCNCからもデータ収集が可能なコンバーターが用意されるなど拡張されていった。
また、収集したデータを有効に活用するためのアプリケーションがシステム上に備えられていた。具体的には、工場内の設備の稼働状況をリアルタイムに表示する機能、設備の稼働分析を行ってレポートを出力する機能、設備の意図しない停止を予防するために事前の保守を促す通知を行う機能などがあった。
これらのアプリケーションの開発はファナックだけでなく、数多くのパートナー企業が参画していたことも特徴であった。また、システムはクラウド上で運用することも、オンプレミスという企業内のサーバで運用することもでき、導入する企業が選ぶことが可能であった。
これ以外にも、多くの機械メーカーがIoTプラットフォームを開発してサービスを開始した。最も大きな盛り上がりを見せたのが2018年に開催されたJIMTOF2018(第29回日本国際工作機械見本市)である。10社を超える工作機械メーカーが独自のIoTプラットフォームを紹介していた(図7)。
また、JIMTOF2018では展示会主催者の企画により、会場内にある72社の工作機械292台を共通のシステムに接続して、稼働状況の監視を行うデモンストレーションを実現していた。このように、以前は単体で動作していた工作機械が当たり前のようにシステムにつながるようになっていった。
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