炭素や部品材料の循環利用実現に向けた研究/開発を推進する「グリーン by サーキュラー」では、カーボンリサイクル事業や家電リサイクル/プラスチックリサイクル事業、リマニュファクチュアリング、未利用エネルギーの活用を展開している。
カーボンリサイクル事業では、炭素の循環利用に向けた研究開発を推進しており、材料、流体/伝熱制御、電解、熱マネジメント、システム制御などの基盤技術を強みに、各要素技術をパートナーと連携して開発することで、CO2有効利用(CCU)システムの早期社会実装を目指している。
CCUシステム開発の一環として、東京科学大学と共同で、CO2を還元して資源として活用可能な一酸化炭素(CO)を生成する「ケミカルループ方式 CO2還元技術」の実証試験を2025年2月19日に開始した。この実証実験は東京科学大学では、環境・社会理工学院 融合理工学系 エネルギー・情報コース 教授の大友順一郎氏らが担当している。
三菱電機が保有する水処理システムや産業システムなど幅広い分野で培ってきた高度なシステム設計/制御技術と、東京科学大学が保有する化学プロセス技術を融合するとともに、独自の酸素キャリア粒子を用いて、ケミカルループ方式 CO2還元技術を開発した。
ケミカルループ方式 CO2還元技術は、まずCO2を酸素キャリア粒子と反応させることで、酸素キャリア粒子がCO2から酸素を受け取りCOを生成する(CO2還元反応)。次に、酸素を受け取った酸素キャリア粒子を水素(H2)と反応させることで酸素キャリア粒子の酸素をH2が受け取り、水(H2)を生成(H2酸化反応)。
続いて、酸素を手放した酸素キャリア粒子は再びCO2還元反応へと備える。このように、CO2還元反応とH2酸化反応を別々に繰り返し行うことでCOが再びCO2に戻る反応を抑制でき、高いエネルギー効率でCOを生成することが可能となる。
この実証試験では、両者が開発したケミカルループ方式 CO2還元技術によりラボスケールでCO生成の実証を行い、エネルギー効率の向上に向けた検証、システムスケールアップ設計、酸素キャリア粒子の製造方法の検討などに取り組む。同実験は2027年3月までに完了する予定だ。
家電リサイクル/プラスチックリサイクル事業では、使用済み家電製品から破砕して回収した混合プラスチック片を前選別や静電選別で種類ごとに区分しリサイクルした再生プラスチックを家電製品の材料に使用する取り組みを行っている。
最近は、混合プラスチックの組成変動に応じた装置の条件設定を各種センサーとAI(人工知能)により自動化した「スマート静電選別」の検証機を開発し、検証実験を2025年2月19日に開始した。この検証機を用いて、三菱電機の先端技術総合研究は、あらゆるプラスチックの組成に応じて、専門知識やオペレーションノウハウがなくても自動で高純度に選別できることを検証していく。
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