BYD、長安汽車、奇瑞汽車などの中国勢がASEAN地域に進出し、工場建設を開始している。特に、BYDはタイ、インドネシア、カンボジアなど積極的に工場建設を開始しており、その影響を受けて、日系自動車メーカーの販売も減速している。
中国においてEREV(レンジエクステンダー)の販売が急速に拡大している。2024年には、NEV(新エネルギー車)の約1割を占めるまでに成長した。EREVはPHEVの一種であり、発電用の小型エンジンを搭載し、バッテリー残量が少なくなるとエンジンが発電機として機能し、バッテリーに電力を供給することで走行を可能にする。この際、エンジンは直接駆動力としては使用されない。中国の理想汽車は、EREVの車両を次々と発売している(図2)。また、ファーウェイの電気自動車ブランドAITO(アイト)も追随し、中国以外の自動車メーカーもEREVの投入を公表している。日系自動車メーカーで、そのような動きはまだない。
多くの環境規制があるが、特に欧米について挙げたい。欧州では、2025年から企業平均燃費(CAFE)規制が94g/kmに強化される。このCAFE規制では、CO2排出量が基準値を1g超過するごとに、販売台数1台当たり95ユーロ(約1万5000円)の罰金が課される。対策として、自動車メーカーはBEV、FCEV(燃料電池車)やPHEVを多く販売するか、多額の罰金を支払う、もしくは他社から排出権を購入する必要がある。日系自動車メーカーは厳しい選択を迫られている。
また、欧州では2035年に内燃機関車の新車販売を禁止する「Fit for 55 Package」の包括案が存在する。2023年2月には、EU加盟国が2035年に内燃機関搭載車の新車販売を禁止する法案に最終合意している。このまま実施となると日系自動車メーカーにとっても厳しい状況となる。
米国では、カリフォルニア州大気資源局(CARB)が定めるZEV(ゼロエミッション車)規制「Advanced Clean Cars II」が存在する。この規制は、2026年までに販売される乗用車およびライトトラックの35%、2035年までに100%をZEVとすることを義務付けている。この規制はモデルイヤー基準であり、2026年モデルイヤーは2025年秋口からの出荷なので、いきなり厳しい局面に陥ることになる。
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