開発の効率向上では、ファミリー開発によって市場投入期間を短縮し、開発コストを200億円削減する。メインモデルで15カ月、後続モデルで20カ月の短縮を目指す。これにより、開発期間はメインモデルで52カ月から37カ月に、後続モデルでは50カ月から30カ月に短縮される。企画/開発サイクルの最小化、試作ロットの大幅削減などに取り組む。
ファミリー開発の最初のモデルは2026年度に発売する。進行中のプロジェクトにも適用し、2025年度からコスト削減効果を生み出すとしている。また、外部委託開発の最適化やコスト効率の高い拠点の活用なども推進する。
変動費は合計で1000億円の削減を目指す。仕様の適正化で600億円を低減する他、部品の種類の70%削減、生産計画の改善によるサプライチェーンの効率化と倉庫費用の削減、アフターセールスの倉庫費用削減などにより合計1000億円の削減を計画している。
販売台数の増加による成長に向けて商品ラインアップも強化する。2024年度の中国を除く販売台数270万台(見込み)に対し、全需の拡大、フルモデルチェンジ、新型車の投入、新たな市場やセグメントへの商品投入により、2026年度に30万台増の300万台の販売を計画する。
2025~2026年度はプラグインハイブリッド車(PHEV)の新モデルを投入する他、日本向けの軽自動車や大型ミニバンの新型車を発売する。次世代の「リーフ」やコンパクトEV、中国向けの新エネルギー車などEVの新型車ラインアップも強化する。
燃費を大幅に改善する第3世代の「e-POWER」も2025~2026年度に複数車種で投入する。「キャシュカイ」「ローグ」や大型ミニバンに順次展開する。初代e-POWER比で20%のコスト削減も実現し、収益と成長に貢献するとしている。e-POWERは米国にも投入する。また、2026年度までに独自のインテリジェントコックピットや新たな運転支援技術を新型車に導入する。
市場での存在感を再評価し、残るべき市場とその他市場の事業戦略を決める。優先順位をつけて効率的に投資を行い、コアとなる商品やプラットフォーム、パワートレインで最適化を行う。
アライアンスやホンダなどパートナーとの共同プロジェクトも加速させる方針で、日産の企業価値を高める戦略的パートナーシップの機会を積極的に模索するという。企業価値を厳格に評価し、大幅なコスト削減と効率性の向上に資するあらゆる機会を明確化するとしている。事業のカーブアウト、資産のリースバックや統合なども検討する。
組織と意思決定の効率化を図るため、執行役員制度を廃止し、役員ではない執行職制度を導入する。執行職の人数は現在の執行役員から2割削減する。組織の階層を減らし、意思決定のスピードを上げる。また、管理職1人当たりの部下の人数や業務領域を拡大する。新たにグローバルで統一された制度により、事業目標に沿った役割やポジションの評価、再格付けを実施する。
上流機能は本社に権限を集約し、下流機能はリージョンに権限を委譲することで、本社のスリム化とリージョン組織の効率的な事業運営を目指す。
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