自動車産業が2035年に目指す姿や危機感をまとめたビジョンを発表:脱炭素(3/4 ページ)
自工会は2023年11月、緊急度や波及効果を踏まえて直近の2〜3年で優先的に取り組む「7つの課題」を発表した。
- 物流、商用、移動の高付加価値化/効率化
- 電動車普及のための社会基盤整備
- 国産電池/半導体の国際競争力確保
- 重要資源の安定調達、強靭な供給網の構築
- 国内投資が不利にならない通商政策
- 競争力のあるクリーンエネルギー
- 業界をまたいだデータ連携
自工会が設定した7つの課題[クリックで拡大] 出所:自工会
自工会ビジョン2035では、これらの7つを含む自動車産業の課題について危機感を整理した。2035年に向けた課題や危機意識は、自工会の各社トップに直接ヒアリングして取りまとめた。インフラ分野やデジタル分野に関しては下記のような課題があり、最悪のシナリオとしては「海外との電動車競争に敗北」「ソフトウェア領域での競争力獲得に失敗」などが考えられるという。
- 電動車の普及に向けて充電ステーションが少ない
- カーボンニュートラルや資源循環には地域社会や行政との連携が必要
- カーボンニュートラル対応はイニシャルコストとランニングコストの両方で中小物流事業者の経営を圧迫
- 中国の新興企業など驚異的な開発スピードにどう対抗するか
- モビリティ用のソフトウェアプラットフォームをどう構築するか
- ソフトウェア人材を含む人的資源の確保が難しくなっている
サプライチェーンや各国の規制への対応には次のような課題認識を示した。これらに対応できなければ、価格競争力の低下や海外市場での競争環境悪化を招くだけでなく、規制対応を巡って特定の市場から撤退せざるを得ないなどのシナリオも想定される。
- 半導体をはじめとするSDVに不可欠な部材の調達力や資源循環の確保
- 天然資源の乏しい日本で電池の材料になるレアメタルなどの安定調達に向けた懸念
- 国土の狭い日本には再生可能エネルギーの電源整備は地理的に限界があり、欧米中に比べて不利
- 各国の急激な規制強化に伴う対応コストの上昇
- 保護主義的政策の台頭による現地生産EVの優遇
- 中国が国内のEV需要や政府支援を背景に競争力を高めている
- 新興国で中大型モーターサイクルの市場が拡大するが、中国やインドで廉価ブランドが台頭
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