ユポ・コーポレーションと日本化学工業は、日本化学工業が新しく開発した紫外線で硬化する異方導電性接着剤を用いたRFIDラベルタグの製造方法を共同開発した。
ユポ・コーポレーションと日本化学工業は2024年11月15日、日本化学工業が新しく開発した紫外線で硬化する異方導電性接着剤を用いたRFIDラベルタグの製造方法を共同開発したと発表した。
異方導電性接着剤とは、ICチップとアンテナを電気的に接続するために使われる接着剤だ。熱で硬化するエポキシ樹脂中に導電性粒子を均一分散させた熱硬化型の異方導電性接着剤が一般的に用いられている。今回新たに紫外線で硬化する樹脂の中に独自の導電性粒子を分散させ、熱を必要としない紫外線硬化型の異方導電性接着剤を開発した。
従来の一般的な工法で製造したRFIDラベルは、印刷された紙やフィルムなどの粘着ラベルに、粘着剤、熱硬化型異方導電性接着剤、PETフィルム、ICチップ、アンテナ回路の層構造からなる「インレイ」を後貼りする。
一方、新製法では、印刷されたユポの裏面に直接アンテナを印刷し、日本化学工業の紫外線硬化型異方導電性接着剤「SMERF(開発品)」を用いてICチップとの接続を行う。ユポは、ポリプロピレン樹脂と無機充填剤を主原料とする、水に強く破れにくいフィルム法合成紙だ。ユポコーポレーション独自の製法により、ユポは無数の微細な空孔「ミクロボイド」がその表面と断面に付与されており、このミクロボイドにより、紙の特性である「印刷/筆記適性」や「軽量性」を実現している。これらの特性を生かし、ユポは屋外や水回りで使用されるポスターやラベルなどの印刷物として使用されている。
新製法でRFIDを製造すると、「製造工程およびリードタイムの短縮」「製造コストおよびラベルコストの低減」「環境負荷物質排出の大幅削減」「省資源化」といったメリットが得られる。
また、新製法とユポ・コーポレーションの「ユポインモールドラベル」を併用することで、樹脂ボトルの成型と同時にRFIDラベルをラベリング(インモールドラベリング)できることも確認している。このインモールドラベリングでは、インレイとラベル素材を貼り合わせる従来のRFIDラベルに比べ、ラベルを貼る生産工程の削減が期待できる。ユポインモールドラベルとは、樹脂容器の熱成型と同時にラベルが容器表面に融着することで、容器とラベルの一体成型を可能とするラベル製品だ。
新製法を用いたRFIDラベルタグのターゲットとしては、商品の追跡と在庫の効率化を実現する物流/倉庫管理や、消費者に製品情報を提供する新たな方法として利用するスマートパッケージングを想定している。
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