ASEANのEVシフトはどう進む? 現地の最新状況を解説電動化(2/2 ページ)

» 2024年11月11日 10時30分 公開
[MONOist]
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 池内氏は、今後のEV需要はペースダウンするとみている。その背景の1つは未成熟なインフラだ。環境負荷が大きなインフラをまだ使っていることを挙げる。「EVが普及するのに十分なインフラはまだ整えられていないと考えている。

 さらに、それらのインフラもクリーン電源が需要に対して圧倒的に不足しており、EVの充電のためにダーティな電源を必要にしているのが現状だ」と池内氏は指摘した。また、スタンドの規格が統一されておらず乱立していることなどもペースダウンに影響する。

 2つ目は技術的な課題が残っている点だ。「バッテリーの性能で、走行距離や充電時間はユーザーの求めるレベルには達していない。アーリーアダプターやセカンドカーのユーザーにとって問題は少ないとみられるが、一般ユーザーからは物足りないというのが現状のようだ」(池内氏)。

 この他、工場でも製造方法の抜本的な切り替えが必要となるものの生産の最適化ができておらず、コストダウンや競争力がまだ身についていないということも要因となっている。

 3つ目には構造の大規模変革がある。内燃機関時代は自動車メーカーをトップとしたピラミッド構造が組まれていたが、EVは既存の枠組みにない市場との連携が必要とされる。特に、バッテリーを充電する電力やIT領域での連携が期待されるが、まだ目立った動きは見られない。

 さらに環境面での最適解はまだ定まっておらず、水素エンジンや燃料電池車にも可能性がある。投資についてもまだ最適化できていないことが課題として残る。

 今後の自動車の在り方を転換しうる自動車保険や資産価値についても定まっていないことから、一般ユーザーにとってはまだ、手を出しづらい存在となっている。

新たなビジネスモデルも登場

 新しいビジネスモデルとしては、電動バイクのレンタル契約が注目を集めている。例えば、タイの新興2輪車メーカーであるETRANの電動バイクは、デリバリープラットフォーマーShopee経由で配達ドライバーがレンタルできることで人気を博している。ランニングコストが低い電動バイクをプラットフォーマーに提供したり、レンタルパッケージとして提携したりするケースは多くみられる。

 もう1つはサブスクリプションモデルだ。ベトナムの地場メーカーであるビンファストなどが行っているもので、車両とバッテリーの価格を分けて販売するという手法。車体本体を売るが、バッテリーは月額使用料を支払う。消費者目線では、EV全体の価格を支払うよりも負担が軽減されているように見えることころがポイントとなっている。こうした新しい売り方もEVならではのビジネスモデルのようだ。

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