パナソニック コネクトはさまざまな課題を抱える物流の現場に、製造業で培ったノウハウで挑もうとしている。
トラックドライバーの時間外労働時間に上限規制が課せられ、従来と同様に輸送能力を提供することが困難になる物流の2024年問題。少子高齢化で人手不足も深刻化している。さまざまな課題を抱える物流の現場に、製造業で培ったノウハウで挑もうとしているのがパナソニック コネクトだ。
同社 現場ソリューションカンパニー エグゼクティブコンサルタント エバンジェリストの一力知一氏は「われわれは製造業ではありながら、物流や流通も全て持っている。パナソニックだからこそできる考え方でサプライチェーンをよくしていこうとしている。新しい事業領域を立ち上げようとしている」と語る。
同社は「国際物流総合展2024」(2024年9月10〜13日、東京ビッグサイト)において、「庫内オペレーションの最適化」「戦略的なサプライチェーン管理」「輸配送業務の最適化」をテーマとした展示を行った。
一力氏が強調するのは“基準”の大切さだ。物流の2024年問題における課題の1つは、基準がないことだという。
「現象として人手不足は起こっている可能性がある。なぜそういう言い方をするかというと、人は足りていない時もあれば、余っている時もあるからだ。例えば100人が必要となっても、作業は時間とともに変化するので、実際には100人という固定数字は存在しない。倉庫作業の人手不足がよく言われるが、では本当に何人必要なのかを割り出せているかというと、実際には割り出せていない」(一力氏)
そこで用いるのが、インダストリアルエンジニアリング(IE)の概念だ。モノづくりの経営改善手法の1つであるIEは、人、設備、材料などのムリ、ムダ、ムラを改善し、原価低減や生産性向上につなげる。
「人が足りないというのは、基準を何にするかで変わってくる。ある作業が5秒で終わるのか、1分かかるのかでは、必要な人数がまったく変わってくる。そこで大事なのは、基準を決めることだ。インダストリアルエンジニアリングでは、この作業は10秒で、という風に定義していく。この大本の数字が揺らぐと全部ずれてしまう。1秒ずれただけでも、1日に同じ作業が1万回あれば、約3時間の遅れにつながる。そして、誰がやっても10秒でできる環境を作るのが製造業の標準化だ」(一力氏)
IEの概念を用いて標準化されたタスク情報を基に、各タスクの振り分けを行うのが、パナソニック コネクトが子会社のBlue Yonder(ブルーヨンダー)と連携して開発したタスク最適化エンジンだ。WMS(倉庫管理システム)からの入出庫情報を基に、人とロボットがどんな順番で作業を行うとトラックの出発時間に間に合うかを計算し、実行する。
「日本では人がマルチタスクを担うため、オペレーションが複雑になる。1つ1つの作業を標準化した上でデータをつなげていくことで、競争力をさらに高めることができる」(一力氏)
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