手で組み立てられる自動倉庫、モジュール型で拡大縮小も自由自在国際物流総合展2023

ラピュタロボティクスは「国際物流総合展2023 第3回 INNOVATION EXPO」において、自動倉庫「ラピュタASRS」を披露した。

» 2023年09月14日 08時00分 公開
[長沢正博MONOist]

 ラピュタロボティクスは「国際物流総合展2023 第3回 INNOVATION EXPO」(2023年9月13〜15日、東京ビッグサイト)において、自動倉庫「ラピュタASRS」を披露した。

自動倉庫「ラピュタASRS」[クリックで拡大]

ロボットは群制御AIで賢く効率的に稼働

 ラピュタASRSはピッキングアシストロボット「ラピュタAMR」で多くの導入実績を持つラピュタロボティクスが、2023年8月に発表したばかりの新製品だ。シンプルなモジュール構造を採用しており、ポールとプレート、土台の3つの部品をブロックのように組み上げていくことで簡単に構築でき、倉庫の形や大きさに合わせた自由度の高いレイアウトが可能となっている。

 ポールはガラス繊維を含んだ強化プラスチックを素材としており、軽くて丈夫でネジやボルトなどの工具も使わず手作業で組み立てることができる。会場への設置も3時間ほどで終えたという。土台部分には免震材を使用しており、地震などの強力な揺れや振動を吸収せずに力を逃す免震構造を採用しているため、床に固定用のアンカーを打つ必要がない。また、土台の内部には高さ調整用のアタッチメントを入れられる。

ポールとプレートで構成されたフロア(左)と土台部分(右)[クリックで拡大]

 ピッキングステーションに設置されたカメラは、AI(人工知能)を活用して作業者の動きを検知。荷物の入れ間違いや取り間違いを認識するとブザーで知らせ、誤動作を防止する。1つのピッキングステーションで約20台のロボットが作業することを想定しており、出荷量によっては複数のステーションも設置できる。

 ラピュタAMRで用いている群制御AIを導入しており、複数の保管用、出荷用のビン(コンテナ)を独立して制御。1台のロボットがエレベーターまで運び、到着したフロアでもう1台のロボットが受け取るといった役割分担も自動的に行い、複数のロボットを効率よく運用することができる。

ピッキングステーション[クリックで拡大]
会場で行ったラピュタASRSのデモンストレーション[クリックで再生]

 自動倉庫内で動くロボットは高さ80mmの薄型でメカナムホイールにより旋回せずに前後左右に移動する。バッテリー式で満充電での稼働時間は約3時間だが、充電が少なくなるとバッテリー交換ステーションに移動して自動でバッテリー交換することで、24時間稼働可能だ。バッテリー交換も1分ほどで終わる。バッテリー交換ステーションではロボットへの給電を行いながら交換するため、ロボットの電源は切れずに交換後に立ち上げを行う必要はない。フロアを移動するためのエレベーターはシンプルなチェーン駆動で任意の場所に設置できる。

 「ラピュタASRSは今までの自動倉庫とはまったく異なる発想で設計された製品だ。規模を拡大したい時は簡単に拡張でき、分解して別の倉庫に移設することも容易だ。必要に応じて簡単に大きくしたり小さくしたりでき、最小限のコストで導入することができる」(ラピュタロボティクスの説明員)

自動倉庫内を動くロボット[クリックで拡大]
バッテリー交換ステーション(右)[クリックで拡大]

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