名古屋工業大学は、高温や湿気、酸素に対する耐性を備え、短時間で精密な構造の高分子を合成できるリビングアニオン重合を開発した。環境に左右されにくく、空気中で重合が進行し、簡便に高分子を合成できる。
名古屋工業大学は2024年9月24日、高温や湿気、酸素に対する耐性を備え、短時間で精密な構造の高分子を合成できるリビングアニオン重合を開発したと発表した。環境に左右されにくく、空気中で重合が進行し、簡便に高分子を合成できる。
研究グループは、耐水性の高いルイス酸と、塩基からなるルイスペア触媒に着目。これを用いることで、成長末端の耐水性を確保しつつ、空気中で安定した触媒を組み合わせて活性な成長種を創出できると想定した。
今回の研究では、ルイス酸にZn(OTf)2を、ルイス塩基としてPPh3を使用し、ジアルキルアクリルアミド類のリビング重合に成功した。
この成長末端は、60℃や100℃の環境でも副反応が併発せず、数分以内で重合が完結する。また、空気中でも反応性を保持し、失活することなく高分子鎖の成長反応が進行する。さらに、少量の水やメタノールを添加しても高収率で高分子が得られることが判明した。触媒のZn(OTf)2は、回収して再利用できる。
今後、触媒の種類を検討することで、ジアルキルアクリルアミド類以外のモノマーのリビング重合にも応用できる可能性がある。水分や酸素だけではなく官能基が存在しても重合反応の制御が可能なため、既存技術では合成が困難な化学構造の高分子を合成できる。自己修復性や高耐熱性を備える、次世代新規材料の基盤になり得る研究成果だ。
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