このようにVRChatユーザーを想定して開発が進められたMeganeX superlight 8Kだが、共同開発パートナーのパナソニックグループが産業VR市場に展開していくための製品としても仕上がっている。
パナソニック システムネットワークス開発研究所 事業開発推進部 XR総括の小塚雅之氏は「パナソニックグループのB2B営業は、PCと接続するVRヘッドセットを中心にさまざまな産業VRの領域で提案ができると見ている。特に、設計と製造におけるデジタルツイン活用、特殊訓練の3分野はVRの効果が明確で代替手段が乏しいこともあり、短期で狙っていけると考えている」と述べる。
特に自動車業界では、設計開発者のデザインコラボレーションや製造ラインでの活用が進んでいる。ただし、現行のVRヘッドセットは、重くて疲れる、画質が不十分などの課題がある。この既存市場に対して、高解像で超軽量のMeganeX superlight 8Kを提案することで、置き換え需要の掘り起こしを目指していく。
Shiftallと共同開発した軽量のVRヘッドセットとしては「MeganeX」があるが、顧客からの評価では解像度と色域に課題があった。そこで、MeganeX superlight 8Kは解像度と色域を大幅に改善し、ハイエンド業務モニター並みの画質を実現した。
小塚氏は「ただし、VRヘッドセットは高画質にすると重くなるのが業界トレンドだ。しかし、顧客の悩みである『重くて疲れる、画質が不十分』という悩みを解決するには、高画質と軽量化を両立しなければならない。MeganeX superlight 8Kは、業界トレンドと異なる進化によってこの要求に対応することができた」と強調する。
また、設計開発者のデザインコラボレーションではHDR対応が重要になってくる。そこで、NVIDIAとの連携により、NVIDIAのRTX世代のGPUボードを組み込んだPCとSteamVR対応のVRアプリケーションの組み合わせによってHDR表示に対応した。製造業向けデザインツールとのHDR連携も推進しているという。
この他、先述したパナソニックグループが目指す産業VRの3領域において広く採用されているフィンランドのハイエンドヘッドセット「Varjo XR-4」とMeganeX superlight 8Kの比較も行った。画質では、解像度、色域、リフレッシュレートは同等で、階調数とコントラストはMeganeX superlight 8Kが上回る。そして何より重量は、1kg超のVarjo XR-4に対し、MeganeX superlight 8Kはストラップやライトシェードを含めた重量でも250gで、大幅に軽量化できている。「もちろん、Varjo XR-4はVRだけでなくMRの機能などもあるので一概に比較はできないが、絞り込んだ用途で使うのであればMeganeX superlight 8Kは十分な競争力があると考えている」(小塚氏)という。
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