そんなSCGは1991年、同じカリフォルニア州に拠点を置くIntegrated Systems(ISI)に買収される。Forbesの1998年9月23日の記事によれば、買収金額は株および現金で2000万米ドルだったそうだ。ちなみにこの記事では買収は1990年になっているが、ISIのCorporate Profile(Webアーカイブを参照)によれば、買収は1991年だし、もし1990年だとすれば先のChorus SystemesやTelesoftとの提携のリリースもISI名義になっているはずなので、これは1991年が正しいと考えられる。ちなみに、そのForbesの記事によれば、1997年度のISIの売上である4200万米ドルの3分の1にあたる1400万ドルがpSOSのロイヤルティーだったらしい。どれだけpSOSが広く受け入れられていたのかを物語るに十分な金額だと思う。
ちなみにISIは、他にもMATLABのご先祖様とでも言うべきMATRIXxや、Digital ResearchのConcurrent DOS 286/68Kの後継製品であるFlexOSなども扱っており、また1995〜1997年にTakeFive Software/Diab Data/Doctor Design/Epilogue Technology/BetterStateの5社を買収(BetterStateのみ、R-Active Conceptsから部門を買収)、これらの企業の持つ製品やサービスをラインアップに加えている。ただISIの本業(?)は、組み込みシステムの開発であって、1997年度のForm 10-K(Webアーカイブを参照)を見ると、富士通向けのSONET Switchや日産自動車向けの車載システム、トヨタ自動車向けのトラコン制御、ホンダ向けのエンジン制御など、さまざまな組み込みシステムの開発に携わっていたことが明らかになっている。ただし、こういう特定企業向けの組み込みシステムの開発は受注金額の波が大きい。売り上げの平滑化を図るためにも、pSOSは非常に良い買い物だったと言えよう。
さて、ISIによる買収後、pSOSにはいろいろ手が入った。最初に行われたのは書き直しである。先に書いたようにpSOSはMC68000のアセンブラで記述されており、このままだとターゲットはMC68000ベースの製品に限られる。そこでC言語を利用して全面刷新がなされるとともに、移植性にも配慮されたものになった。この改良版というか書き直し版は、pSOS+と呼ばれることになった(先のTelesoftとの提携でpSOS+が対象になっているのは、この書き直し版に向けたものとなる)。ただこれも途中からpSOSystemという名称に切り替わり(pSOS+はカーネルの名称となった)。
ターゲットとしては以下のようなものが挙げられている。
また、カーネルコンポーネントとしても、以下のようなものが用意された。
他にもBSP(48製品)やX11R6対応あるいはOpTIC対応のグラフィックライブラリなど、RTOSとしては結構充実していたのではないかと思われる。
ちなみに1999年4月の時点では、ISIの日本法人であるインテグレーテッド・システムズ・ジャパン株式会社が存在していた(Webアーカイブを参照)ことも確認できている(その後は不明だが、おそらくWind River Japanに統合されたのだろう)。
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