「製造現場における無線通信技術の導入ガイドライン」作成の背景と概要製造現場への無線通信技術の導入(1)(3/3 ページ)

» 2024年09月17日 07時00分 公開
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ガイドラインの構成

 近年では、製造現場への無線通信技術の導入は急速に進展しており、その利用範囲も拡大しています。製造現場における無線通信の導入が増加している一方で、無線通信技術になじみのない担当者が増えていると考えられます。

 本ガイドラインは、そのような担当者でも無線導入に必要な知識やステップを理解しやすいように設計されています。無線通信技術の基礎知識からユースケースごとの無線タイプ、無線通信導入のプロセスと具体的な事例をカバーすることで、初めて無線通信技術を導入する方から導入経験のある方まで、実践的な知識を身に付けられるように以下のような構成となっています。

「製造現場への無線通信技術導入の背景とガイドライン」の構成[クリックで拡大]出所:NEDO

1. 製造現場での無線通信技術の活用に必要な基礎知識

 製造現場での無線通信技術活用に必要な、周波数帯ごとの特性や、減衰、回折、反射、干渉など製造現場で発生しやすい現象等の基礎知識を説明。また、製造現場で使われることが多いWi-Fi、Bluetooth、LPWA、5G等の特性と、製造現場特有の影響も解説。

2. 製造現場における無線通信技術の導入事例

 大規模工場、中小工場、プラント工場ごとに、実際の製造現場における無線通信技術の活用例を紹介し、よくあるユースケースと、それに伴う無線通信の種類、導入効果、導入時の留意点を解説。

3. 無線通信技術の導入にむけて

 無線通信技術導入のための全体的プロセスと、実施事項として計画立案から機器選定、設置、運用までの手順を説明。無線通信技術の導入をスムーズに進めるための手順と、一連のプロセスで直面する課題と解決策を解説。

ガイドラインの活用方法

 本ガイドラインは幅広い読者に対応するために、無線通信技術のレベルごとに以下のような活用を想定して作成されています。

  • 初めて無線通信技術を導入する方

 「1. 製造現場での無線通信技術の活用に必要な基礎知識」から読むことで、必要な基礎知識が習得でき、「2. 製造現場における無線通信技術の導入事例」「3. 無線通信技術の導入にむけて」を理解することが可能。

  • 一定の無線の知識を保有されている方

 既に無線通信技術を導入した経験があり、無線知識を一定程度持っている場合は、「2. 製造現場における無線通信技術の導入事例」から読むことで、導入対象の工場タイプやユースケースごとの無線活用の留意点などの知識をさらに深めることが可能。

  • システムインテグレーターや導入支援者

 「3. 無線通信技術の導入にむけて」に記載の無線導入計画策定やテストなどのプロセスに関する解説は、導入支援者にとっても有効。また、初めて無線技術を導入するクライアント企業に対しては、本ガイドラインを事前に読んでもらうことで、効率的なシステム構築の一助とできる。


 次回以降は、ガイドラインの具体的な内容について、無線通信技術の基礎知識のほか、製造現場での活用シーン、無線通信導入の注意点や導入ステップについて解説していきます。

小川 吉大(おがわ よしひろ)

国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)

半導体・情報インフラ部

総合電機メーカーの研究所で、情報処理・情報通信の研究開発に長年にわたり従事すると共に、社内の技術交流と研究促進および人材育成の活動に携わった。現在は、NEDOにて「5G等の活用による製造業のダイナミック・ケイパビリティ強化に向けた研究開発事業」のプロジェクトマネジャーを務めている。

下山 智央(しもやま ともひさ)

PwCコンサルティング合同会社

Government & Public Services、通信・メディア領域 ディレクター

無線・有線通信にかかる制度設計、実証試験、利活用・実装に関する支援を中心にコンサルティング業務に従事。製造現場における無線通信の導入・運用支援についても、長年にわたり携わっている。NEDOが公開している「製造現場における無線通信技術の導入ガイドライン」の執筆も担当した。

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