サブ6解禁でさらに期待高まるローカル5G、コストに見合った価値づくりを急げMONOist 2021年展望(1/2 ページ)

民間での商用サービスが始まった5Gだが、企業や自治体などが5Gを自営網として利用できる「ローカル5G」にも注目が集まっている。2020年末に6GHz以下の周波数帯であるサブ6やSA構成、屋外での利用が利用可能になる法整備が行われ、ローカル5Gへの期待はさらに高まっているが、その導入コストに見合った価値づくりはまだこれからだ。

» 2021年01月21日 11時00分 公開
[朴尚洙MONOist]

 2020年は“次世代”移動体通信技術である5Gの商用サービスが国内で始まった年だ。同年3月からNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクが、11月には楽天モバイルもサービスを開始しており、MVNO(想移動体通信事業者)も5Gサービスをオプションで提供するようになっている。

 国内でも多くのユーザーが利用しているアップル(Apple)の「iPhone」が、2020年10月以から順次発売された「iPhone 12」で5Gに対応したことで、通信キャリアのサービスを利用する一般ユーザーにとって5Gはより身近なものになりつつある。ただし、既存のLTEの基地局を利用して早期に5G通信エリアを広げていく戦略をとるKDDIとソフトバンクでも、5Gの人口カバー率90%の達成時期はKDDIが2022年3月末となっている。当初から5G専用基地局を展開していくNTTドコモの場合は、同社が指標とする基盤展開率で2022年3月末に55%、2023年3月末に70%、2024年3月末に97%としている。現行のLTEのように、どこでも5Gを利用できるようになるにはもう少し時間がかかりそうだ。

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ローカル5G事業に向けて多くの企業が参入

 5Gでは、通信キャリアが手掛けるこれらの民間向けサービスに加えて、企業や自治体など通信キャリアにとどまらないさまざまな事業主体が5Gを自営網として利用できる「ローカル5G」に注目が集まっている。

 2019年末には、総務省がローカル5Gの導入に向けた関係省令と告示を公布、施行し、ローカル5Gの無線局免許の申請の受付を開始。利用可能な周波数帯は28.2G〜28.3GHzの100MHz幅にとどまったものの、従来とは異なるスピード感で法制度が策定されたことも手伝って多くの企業がローカル5Gの無線局免許を申請した。

 例えば、NTT東日本は東京大学と共同で、総務省による無線局免許の申請受付に先駆けて、2019年10月に産学共同のローカル5Gオープンラボの設立を発表している。2020年2月に設立した後には、同年7月にリニューアルを行って報道陣に公開した。関西電力子会社のオプテージも2020年6月、ローカル5Gで割り当てられた28GHz帯を用いたオープンな実験施設として西日本初とする「OPTAGE 5G LAB」を報道陣に公開している。

NTT東日本が報道陣に公開したローカル5Gオープンラボ NTT東日本が報道陣に公開したローカル5Gオープンラボ。検証ルームでは、銀座農園のスマートアグリ・モビリティ「FARBOT」を用いたいちご栽培への応用デモを見せた(クリックで拡大)

 NECや富士通といった通信機器を手掛けるベンダーも、自身でローカル5Gの無線局免許を取得してラボを開設するとともに、自社工場での実証実験を行う体制を整えている。NECは2019年12月にローカル5G事業への本格参入を発表しているが、三菱電機とのローカル5Gとキャリア5Gを組み合わせたハイブリッド5Gの検証や、コニカミノルタが2020年11月に開設した5Gオープンラボでの協業、同年12月に発表した熊谷組との無人化施工に向けた実証実験など積極的な事業展開を進めている。

コニカミノルタの「ハイブリッド5Gオープンラボ」の内装イメージ コニカミノルタの「ハイブリッド5Gオープンラボ」の内装イメージ(クリックで拡大) 出典:コニカミノルタ

 富士通も、2020年10月に発表したローカル5Gの事業戦略において、同社小山工場(栃木県小山市)で日本マイクロソフトと共同で実証実験を2020年度内に実施することを明らかにした。また、ローカル5Gに関わる企業が、さまざまな業種の顧客企業から、ネットワークインフラやデバイス、端末、サービスプラットフォームなど多岐にわたることから、「ローカル5Gパートナーシッププログラム」によってさまざまな企業との協業を進める方針を示している。

富士通のローカル5Gパートナーシッププログラムのパートナー 富士通のローカル5Gパートナーシッププログラムのパートナー(クリックで拡大) 出典:富士通

 日立製作所(以下、日立)も、デジタルソリューション「Lumada」の展開拡大に向けてローカル5Gを活用する方針を打ち出している。2020年10月に発表した、同社中央研究所(東京都国分寺市)内に開設したローカル5G実証環境では、エッジコンピューティング運用技術を重視する方針を打ち出している。これらの技術力と、グループ傘下の日立国際電気や日立情報通信エンジニアリング、日立システムズなどのベンダーやSIerの製品やサービスを組み合わせて、ローカル5Gの環境構築から利活用までをトータルにサポートしていく構えだ。

日立がローカル5Gの事業展開で重視するエッジコンピューティング運用技術 日立がローカル5Gの事業展開で重視するエッジコンピューティング運用技術(クリックで拡大) 出典:日立

 この他、グローバル通信機器大手のノキアは2020年12月、国内におけるローカル5Gの企業向けソリューションを推進する「Nokia ローカル 5G テクノロジーパートナーシップ」を発表している。ノキアは2019年12月に日鉄ソリューションズ、IIJ(インターネットイニシアチブ)、エクイニクス(Equinix)、日立国際電気とエコシステムパートナーシップを発表していたが、今回の枠組みではオムロン、コネクシオ、シャープ、日鉄ソリューションズ、日立国際電気が参加することになった。

ノキアが描くローカル5Gのエコシステムマップ ノキアが描くローカル5Gのエコシステムマップ(クリックで拡大) 出典:日立
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