PFUは組み込みコンピュータの新製品3モデルを発表した。産業機器向けセキュリティ規格であるIEC 62443などに対応するためにインテルCPUと独立して動作する独自のRASコントローラを新たに搭載したことを最大の特徴とする。
PFUは2024年8月29日、組み込みコンピュータの新製品となる「AR8300モデル300R/310R」「AR2100モデル120R」「AR2000モデル430P」の受注を開始すると発表した。安定性が要求される産業機器や社会インフラ製品、安全性が要求される医療機器、高性能なエッジコンピューティングなどの用途に向け、産業機器向けセキュリティ規格であるIEC 62443などに対応するためにインテルCPUと独立して動作する独自のRAS(信頼性、可用性、保守性)コントローラを新たに搭載したことを最大の特徴とする。この他、インテルの第12世代/第13世代CPUを搭載し、拡張スロットも増強している。各モデルの出荷開始時期は2024年11月〜2025年1月で、販売目標はそれぞれ5年間で1万〜1万9000台。
同社はインテルCPUを搭載する組み込みコンピュータを、半導体製造装置やロボットなど工場向けを中心に、公共インフラ、病院、オフィス向けにも展開しており、累計出荷台数は150万台を突破している。2022年にリコー傘下となり、同じく組み込みコンピュータを手掛けるリコーインダストリアルソリューションズと併せて、組み込みコンピュータの国内シェアは40%に達するという。
今回発表した3モデルは、AR8300モデル300R/310Rが外形寸法で幅160×奥行き450×高さ427mmのミドルタワー、AR2100モデル120Rが幅195×奥行き260×高さ74mmの小型、AR2000モデル430Pが幅178×奥行き175×高さ50mmの超小型という位置付けになる。
新製品の最大の特徴はセキュリティと監視機能を強化したことだ。セキュリティ強化に向けて、インテルCPUと独立して動作するPFUが独自開発したFPGAベースの「EmbedWare RASコントローラ」を、AR8300モデル300R/310RとAR2100モデル120Rに標準搭載している。このRASコントローラは、NIST(米国国立標準技術研究所)のサイバーセキュリティフレームワークのうちNIST SP800-193に準拠しており、BIOSの改ざん保護、検知、自動復旧の機能に対応している。これにより、産業機器向けセキュリティ規格であるIEC 62443にも準拠できるようになっている。
RASコントローラの搭載に併せて、ARシリーズ共通でハードウェア監視、トラブルシューティングも強化した。OS上で動作するシステム監視ツールの「EmbedWare/SysMon」を標準搭載しており、RASコントローラと連携して監視情報の可視化を行える。これらの他にも、Trellix(旧マカフィー)のホワイトリスト型エンドポイントセキュリティや、OS Bit Lockerによる暗号化、BIOS Secure Bootなど、OSとBIOSに詳しいPFUエンジニアの強固なサポートに裏付けられた充実のセキュリティ対策を用意しているという。
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