三菱地所設計は、建築や家具のデザインから施工まで、木質3Dプリントを用いる生産システム「Regenerative Wood」を構築した。木材加工の工程で生じる廃材の木粉をフィラメント原料に使用する資源循環の試みだ。
三菱地所設計は2024年7月18日、建築や家具のデザインから施工まで、全ての工程に木質3Dプリントを用いる生産システム「Regenerative Wood(リジェネラティブ・ウッド)」を構築し、「世界初」(同社)をうたう木質3Dプリントの建築物「TSUGINOTE TEA HOUSE」の展示を開始したと発表した。
Regenerative Woodは、廃棄物をリジェネラティブ(再生可能)な素材とする資源循環の試みで、木の製材加工時に生じる木粉をフィラメントとして使用する。その考え方と技術を実証するプロトタイプとして、同社はTSUGINOTE TEA HOUSEとカウンターパーテション「Regenerative Wood #1」を制作した。TSUGINOTE TEA HOUSEは、同社本店の総合受付に展示している。
同システムでは、生産フローを通して環境への配慮を図っている。原料に木材加工の全工程で発生する廃材の木粉を採用し、安定した3Dプリントが可能な独自の木質3Dプリント材料を製造している。また、プロジェクト現場付近の木を使用することで原料輸送時のCO2排出量を減らす、一般の物流に載せられるよう出力部材をコンパクトにして人の手で組み立て可能にするといった工夫を施している。
TSUGINOTE TEA HOUSEは、小規模な軽量のパーツに分割して輸送でき、少人数で組み立てられる。同社総合受付で施工したところ、社員4人による手作業で、約2時間程度で完成した。高さ約1.9m、奥行約1.7mの3次元曲面で構成され、継手仕口の精度が高いため、金物なしでパーツ同士をつなげられる。
Regenerative Wood #1のフィラメントに用いた木粉は、同社グループのMEC Industryが提供したものだ。製材工程などで発生する木粉を無駄にせず、ゴミをゼロにすることを目指して廃棄物を削減していく「Zero Waste」への試みとなっている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.