電動キックボードになってよみがえるスバル「ラビット」 ARを使った安全支援もJapan Mobility Show 2025

SUBARUは、「Japan Mobility Show(ジャパンモビリティショー) 2025」において、社員の挑戦から生まれた電動モビリティ「e-Rabbit Concept」を披露した。

» 2025年10月31日 07時30分 公開
[八木沢篤MONOist]

 SUBARU(スバル)は、「Japan Mobility Show(ジャパンモビリティショー) 2025」(プレスデー:2025年10月29〜30日、一般公開日:同年10月31日〜11月9日、東京ビッグサイト)内の「Tokyo Future Tour 2035」において、社員の挑戦から生まれた電動モビリティ「e-Rabbit Concept」を披露した。

SUBARUの電動モビリティ「e-Rabbit Concept」 SUBARUの電動モビリティ「e-Rabbit Concept」[クリックで拡大]

自動車の開発思想と同じく「人を中心とした設計」と「安全」を重視

 e-Rabbit Conceptは、安全なモビリティ社会の実現と、自動車を含むあらゆる領域で「安心」と「楽しさ」を追求することを目的に、人材育成や技術検討の一環として同社社員の手で一から製作された電動モビリティである。「Rabbit」とある通り、同社がかつて製造/販売していたスクーター型オートバイの初代「ラビット」をモチーフに、現代風にリデザインしたレトロモダンな外観が特徴だ。

「これからの電動化時代を見据え、“電気で動くものを自分たちで作ってみよう”と、社内の複数部門から参加者を募り、約4カ月で製作した」(同社説明員)

 自動車開発と同様に「人を中心とした設計」と「安全」を重視し、幅広いステップで両足をそろえやすくした他、ハンドルバーをやや前傾させて安定した握り心地を実現している。車両設計にはトポロジー最適化などの解析手法も用いているという。

幅広いステップRabbitのマークと文字が (左)幅広いステップ/(右)リヤタイヤのカバーにはRabbitのマークと文字が[クリックで拡大]

 また、同社の得意領域である制御技術を生かし、ソフトウェアやコントロールユニットを一から自社開発している。「例えば、下り坂でスピードが出すぎないよう自動で抑制するなど、“乗っていて楽しく、安心できる”技術を組み込んでいる」(同社説明員)。

 さらに、免許不要の特定小型原動機付自転車をはじめとする小型モビリティによる違反や事故の増加を踏まえ、AR(拡張現実)グラスを組み合わせた安全運転支援の仕組みも用意する。

 ARグラスを装着してe-Rabbit Conceptを運転すると、走行速度や「徐行してください」「一時停止してください」「直進禁止です」といった注意情報が視界に表示される。ナビゲーションの役割も果たす他、将来的にはセンシング技術と連携させることで、後方からの追い越しを検知し、アラートを表示することも可能だという。

「情報を見やすく、かつ邪魔にならない形で表示する設計を検討しており、車載ヘッドアップディスプレイの設計思想とも共通する部分がある。クルマづくりの技術にどうつなげていくかも意識している」(同社説明員)

AR技術を組み合わせた安全運転支援の仕組みも提案 AR技術を組み合わせた安全運転支援の仕組みも提案[クリックで拡大]

 e-Rabbit Conceptの車体の一部には、自動車生産時に工場から出るアルミ廃材をリサイクルした材料を使用している。こうしたリサイクル材の活用や技術検討を通じて、将来の自動車づくりにもつなげていく考えである。

 現時点でe-Rabbit Conceptの製品化の予定はないが、自社工場内での移動用や、スーパー耐久のピットおよびサーキット裏での移動手段など、実用的な活用シーンも想定しているという。まずは社内での実証を通じて、安全性や利便性を検証していく方針だ。

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