デジタルエンジニアリングの活用によって、以下に示す項目を設計段階から実施することができます。これにより、最大のコストメリットが得られ、納期短縮や生産性の向上が図れます。製品が出来上がった後に、品質、コスト、納期の向上を目指すのではなく、設計段階から行うわけです。
これまで「生産管理」というと、「いかに製造工程を最適化するか」が重要視されてきました。長年、装置の開発設計製造メーカーの設計に従事してきた筆者もタクトタイムとの闘いの日々でした。
ワークのハンドリング時間を短縮するために、移動ストロークが短くなるように設計したり、移動速度を調整したりするなど、0.1秒単位での改善に取り組んできました。それと同時に、装置によって作られる製品の品質維持にも取り組まなければなりません。
しかし、製品のコンセプトや製品を構成する部品は既に完成されたものなので、装置の設計段階でできることは限られます。もし、こうした最適化の取り組みが、製品とその構成部品の設計段階からできれば、得られる効果はより大きなものとなり、最大の生産管理につながるといえます。
デジタルエンジニアリングを駆使したモノづくりを、製品設計の段階から行うことこそが、これから日本で必要とされる付加価値のある生産管理であり、「生産管理を再定義する」ことにつながります。
デジタルエンジニアリングを駆使した設計/開発の先には、生産があります。これを実現するのが「スマートファクトリー」です。このスマートファクトリーでは、IoT(モノのインターネット)やデジタルツインといった最新技術を取り入れた次世代の工場を意味しますが、真に必要なのは「スマートマニュファクチャリング」であり、その工法や仕組みが求められていると筆者は考えます。
日本が再び競争力のあるモノづくりを実現するためには、デジタルを駆使した新たなワークフローや仕組みを構築し、「生産管理を再定義する」ことが必要です。次回は、スマートマニュファクチャリングについて取り上げます。お楽しみに! (次回へ続く)
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