国家にも「貸借対照表」がある 日本の資産と負債を国際比較で見てみようイチから分かる! 楽しく学ぶ経済の話(10)(3/5 ページ)

» 2024年07月29日 05時30分 公開

家計/企業/政府の正味資産

図2:期末貸借対照表 (家計) 図2:期末貸借対照表 (家計)
図3:期末貸借対照表 (非金融法人企業) 図3:期末貸借対照表 (非金融法人企業)
図4:期末貸借対照表 (一般政府) 図3:期末貸借対照表 (一般政府)

正味資産を見ると家計も企業も横ばいで、政府は減少し続けています。金融資産/負債差額は、家計では増加が続き、企業は横ばい、政府は減少が続いていますね。


そうですね、前回見た通り家計は資金過不足プラスが続いていますので、金融資産/負債差額もプラスで増え続けています。政府はその逆ですね。


企業は金融資産も負債も停滞気味で、生産資産も停滞しています。企業の生産性が停滞していることを如実に表していますね。


政府の生産資産は少しずつ増えているように見えます。結局は家計がお金を増やすのに、政府が負債を負っている印象ですね。一方、全体としての生産資産は増えておらず、家計もお金ばかりが増えている状態です。


とても重要な観点ですね。実は、資金過不足がフロー面でバランスするように、金融資産/負債差額もストック面でバランスします。次はその部分を確認してみましょう。


金融資産/負債差額

図5:金融資産の負債差額 図5:金融資産の負債差額

上のグラフが、部門ごとの金融資産/負債差額を1つにまとめたものです。前回の資金過不足のストック版だと思ってください。


確かにプラス側とマイナス側が常に対照的ですね!


その通りです。部門ごとの金融資産/負債差額を足し合わせると、必ずそれぞれの年でゼロとなります。つまり、金融資産と負債は必ず釣り合っているということですね。


なるほど。家計の金融資産/負債差額がプラスで増え続けていますから、その裏では必ず負債が増え続けている部門が存在するということですね。家計は既に1500兆円を超えるプラスなので、その分、他の部門で負債が超過していることになります。


はい、そうですね。日本の場合、バブル崩壊までは企業が負債を増やしていました。ただし、その後負債を減らすような挙動もあり、金融資産/負債差額は横ばい傾向が続くわけです。これは前回確認した挙動とも符合しますね。


その代わりに負債を増やしているのが、政府と海外というわけですね。


はい、その通りです。


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