オリンパスの新CFOは伊藤忠出身、“数字”の管理で成長を支える製造マネジメント インタビュー

オリンパスが新CFOである泉竜也氏の合同取材に応じた。泉氏は「当社がグローバル・メドテックカンパニーを目指していくためには、経営に関わるさまざまな“数字”を管理するCFOが果たすべき役割は大きい。この“数字”をよりタイムリーに分析できる体制整備を進めていく」と語る。

» 2024年07月26日 07時00分 公開
[朴尚洙MONOist]
オリンパス 新CFOの泉竜也氏 オリンパス 新CFOの泉竜也氏

 オリンパスは2024年7月22日、東京都内で開催した記者懇親会において、同年4月に同社の執行役 CFOに就任した泉竜也氏の合同取材に応じた。泉氏は「2023年度は厳しい1年間だったが、問題への対処も完了して2024年度の見通しは明るい。当社がグローバル・メドテックカンパニーを目指していくためには、経営に関わるさまざまな“数字”を管理するCFOが果たすべき役割は大きい。この“数字”をよりタイムリーに分析できる体制整備を進めていく。受け身ではなく、積極的に社内コミュニケーションをとっていくCFOを目指す」と語る。

 泉氏は1964年9月生まれの59歳。1987年に東京大学法学部を卒業後、大手総合商社である伊藤忠商事(伊藤忠)に入社した。伊藤忠では財務関連の業務を担当し、2006年5月に同社 財務部財務企画室長、2010年5月に北米法人である伊藤忠インターナショナル会社の財務部長、2013年4月に伊藤忠 アセアン・南西アジア総支配人補佐 経営管理担当(CFO)、2016年5月に繊維カンパニーCFO、2019年4月に同社 執行役員 経理部長、2021年5月に伊藤忠子会社である日本アクセス 取締役 常務執行役員 管理管掌、2022年4月に同社 取締役 専務執行役員 管理管掌などを歴任している。また、1995年5月にはペンシルバニア大学 ウォートン スクールでMBAも取得している。

 伊藤忠の財務部門でさまざまな業務を担当してきた泉氏だが、同社グループを出て医療機器メーカーであるオリンパスのCFOに就任する道を選んだ。同氏は「オリンパスは、人の命を救う医療機器を扱うという意味で社会に対する貢献が大きく、今後のビジネスの発展性、成長性も期待できる。何より人材が素晴らしく、約3カ月前に入社したにも関わらず、10年前から社員であるかのように迎えてもらっている。これまで商社一筋できたが、医療業界のことをしっかり勉強して貢献していきたい」と述べる。

内向きから外向きを目指すオリンパスが社外から招聘

 オリンパスのトップである取締役 代表執行役社長兼CEOのシュテファン・カウフマン氏は、2023年4月の就任から「過去のオリンパスは内向きだったが、これからは外向きに、全てのステークホルダーにオープンにしなければならい」と訴えている。東京・八王子への本社移転や、新たなCMO(Chief Medical Officer)であるジョン・デ・チェペル(John de Csepel)氏の採用など矢継ぎ早に施策を進めており、前CFOの武田睦史氏の退任に合わせて、新CFOとしてオリンパス社外から泉氏を招聘(しょうへい)したのも同様の狙いがある。

 泉氏は、オリンパスの組織の課題として、「効率的な医療機器開発を行うために進めてきた社内における機能分散と、世界シェア70%という消化器内視鏡を事業展開する上で必要なグローバルの組織によって、経営の意思決定に必要な情報が各所に散らばっている。この情報をCFOの下に集めるため各部署に積極的に働きかけるようにしている」と指摘する。同氏は社内に向けて「自身の業務に必要であれば積極的にCFOを活用してほしい」と訴えかけており、カウフマン氏の求めるオープンコミュニケーションに努めているという。

 情報収集に加えて、泉氏が追求していきたいと考えているのが“数字”の精度だ。「CFOの仕事は経営に関わるさまざまな“数字”を管理することだ。つまり、社内の状況を“数字”として的確に捉え、分析できなければならない。ただし、現時点では必ずしも“数字”の正確性が高いとはいえず、分析もタイムリーに行えているとはいえない」と説明する。

 泉氏が勤めていた伊藤忠は、日本企業の中でも“数字”の管理が厳しく、業績予想のブレが少ないことで知られている。「これは商社の営業利益率が数%程度と小さいため、“数字”の管理を厳しくしないとブレによる影響が大きいためだ。オリンパスの営業利益率は20%に達するなど高いこともあって、そこまで厳しくしなくてもよく、どんぶり勘定になりがちなのではないか。文化の違いもあるものの、もう少し“数字”の管理の精度を高めたい」(同氏)という。

 また、伊藤忠とオリンパスの違いについて「伊藤忠はグローバルで事業を展開しているが、経営の意思決定は日本国内で行っている。オリンパスは海外売上高比率が80%以上とさらにグローバル化が進んでおり、取締役の半数が非日本人で、執行役員も日本在住でなかったりする。この状況でもタイムリーに意思決定を行えるようにするには、やはりCFOが責任を負う“数字”の管理が重要になってくるだろう」(泉氏)としている。

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