オリンパスは、同社 CMO(Chief Medical Officer)のジョン・デ・チェペル氏の合同取材に応じた。チェペル氏は「オリンパスに何が求められているかを把握し、日本の優秀な技術開発部門や製造部門に伝えることで、その力をグローバルに広げていくことに貢献したい」と語る。
オリンパスは2024年4月15日、2023年10月に同社のCMO(Chief Medical Officer)に就任したジョン・デ・チェペル(John de Csepel)氏の合同取材に応じた。チェペル氏は「オリンパスに何が求められているかを把握し、日本の優秀な技術開発部門や製造部門に伝えることで、その力をグローバルに広げていくことに貢献したい」と語る。【訂正あり】
【訂正】オリンパスの申し入れにより、一部図版を差し替えるとともに記事の表記を変更ました。
チェペル氏は、米国ニューヨーク在住の現役医師であり、オリンパスの主力事業である内視鏡などを用いた低侵襲治療を専門としている。2001〜2006年は、セントビンセント病院(ニューヨーク州)で低侵襲手術のチーフを務め、2006〜2014年に国境なき医師団の戦傷外科医を経て、現在はニューヨーク市で月1〜2回ほど外科医として働いている。これら医師としてのキャリアと並行して、2007〜2013年はバークスメディカル(Barrx Medical)、2013〜2015年はコヴィディエン(Covidien)、2015〜2023年はメドトロニック(Medtronic)でCMOやメディカルアフェアーズの責任者を務めてきた。なお、バークスメディカルはコヴィディエンに、コヴィディエンはメドトロニックに買収されての移籍となるため、オリンパスへの入社はチェペル氏にとって初の転職となる。
チェペル氏が担当するMSA(Medical and Scientific Affairs)部門は、最終顧客である患者がどのような医療機器やサービスを求めているのかを把握するとともに、自社の事業部門に伝えて製品開発や営業活動に反映させつつ、各国の規制当局への対応も行うなど幅広い役割を担っている。映像機器や光学機器の事業を売却して医療機器専業となり、「グローバル・メドテックカンパニー」の地位強化を目指すオリンパスにとって、MSAが果たす役割はより重要になっている。
オリンパスのMSA部門は、世界で5つの地域に分かれて業務を行っており全体で約400人が在籍している。チェペル氏は「MSA部門を1つにまとめて、患者のニーズを満たす医療を提供できるようにレベルを上げていく必要がある。オリンパスは大きな企業であるが、われわれには患者の声を代弁する役割があり、患者の求める製品開発を求めていく責務がある」と語る。
MSA部門には幅広い機能があるものの、これらの中でも「臨床試験(Clinical Research)」「医療経済学の研究(Healthcare Economics)」「メディカルアフェアーズ(Medical Affairs)」「専門職教育(Professional Education)」「メディカルセーフティ(Medical Safety)」の5つの機能を重視しており、これらの提供を通して全ての患者に対する質の高い治療へのアクセスを確保できるとしている。「各国当局からの承認を得る上でも、これら5つの機能が重要な役割を果たす」(チェペル氏)。併せて、患者の潜在的な要求を顕在化することでオリンパスの成長機会につなげ、最高水準の安全性を満たしていることも保証していかなければならない。
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