東海カーボンが日本と欧州の黒鉛電極生産能力を年間3.2万tに削減、防府工場に集約工場ニュース

東海カーボンは、2024年7月16日開催の取締役会で、電極事業の構造改革の一環として、2025年7月までに日本と欧州の黒鉛電極生産能力を年間5万6000千トン(t)から同3万2000tに削減することを決議した。

» 2024年07月18日 07時30分 公開
[遠藤和宏MONOist]

 東海カーボンは2024年7月16日、同日開催の取締役会で、電極事業の構造改革の一環として、2025年7月までに日本と欧州の黒鉛電極生産能力を年間5万6000千トン(t)から同3万2000tに削減する他、生産能力削減に向け国内黒鉛電極の生産を防府工場(山口県防府市)に集約し、滋賀工場(滋賀県近江八幡市)での生産を2025年7月末までに終了することを決議したと発表した。

黒鉛電極生産体制再構築の背景と目的

 黒鉛電極は、電気炉を用いた製鋼プロセスにおいて、スクラップ(鉄くず)を溶かして鉄へリサイクルする際に導電体としてなくてはならない中心的素材だ。同社は、この黒鉛電極の生産について、滋賀工場、防府工場の国内2拠点に、欧州のTOKAI ERFTCARBON、北米のTOKAICARBON GEを加えた世界3極体制で事業を展開し拡大してきた。しかし、世界的な鉄鋼生産低迷で電極需要が減少していることに加え、日本を含むアジア、欧州、中東の市場においては、中国/インドの企業による低価格製品の流入によって市況が大幅に軟化し、構造不況状態となっている。

 こうした中、同社は今後とも顧客に安定的に製品を供給するためには日欧生産能力削減が不可避との判断に至った。そして、防府工場に生産を集約し、2025年7月までに、滋賀工場の生産を終了する。

 同社は、2024年2月に公表した3カ年中期経営計画「T-2026」において、「主力事業の収益基盤の強化」を基本方針とし、黒鉛電極事業の構造改革の推進を掲げている。黒鉛電極事業は、カーボンニュートラルの潮流の中、2030年に向けて大口径品を中心に世界的にも大きな需要が創出される見通しだ。

 今回の生産体制再構築により、抜本的な構造改革を実現し、競争優位性を高め、北米、アジア、欧州市場における大口径品や高品質な黒鉛電極の需要に対応していく。

黒鉛電極生産体制再構築の概要

 黒鉛電極生産体制の再構築に関して、国内では滋賀工場の生産を2025年7月末までに終了し防府工場に生産を集約し、日本国内の黒鉛電極生産能力を約50%削減し、出荷能力を年間2万6000tから年間1万2000t体制とする。現在、滋賀工場に勤務する従業員については、同社国内拠点への配置転換などを通して、雇用の確保に努めていく。

 国内拠点の生産集約に合わせて、欧州拠点(TOKAI ERFTCARBON)の黒鉛電極生産能力を約30%削減し、年間3万tから年間2万t体制とする。

 北米拠点(TOKAICARBON GE)においては生産能力の変更はない(年間4万t体制)。

 なお、今回の取り組みが、2024年12月期の連結決算に与える影響については現在、精査中であり、今後、開示すべき事項が発生した場合に発表する方針だ。

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