京都大学は、システマチックレビューを用いた研究により、屋外活動の時間を増やすことが子どもの近視の進行予防になるかは不明確なものの、発症予防につながる可能性が高いという研究結果を発表した。
京都大学は2024年6月21日、システマチックレビューを用いた研究により、屋外活動の時間を増やすことが子どもの近視の進行予防になるかは不明確なものの、発症予防につながる可能性が高いという研究結果を発表した。
今回の研究では、子どもの屋外活動の時間を増やすことが近視の発症や進行を抑制するかを明らかにする目的で、システマチックレビューを実施した。システマチックレビューとは、報告の有無や結果の良しあしを問わず、計画された全てのランダム化比較試験を網羅的に集め、結果を結合して解釈する研究手法だ。
研究グループは、事前に設定された基準を満たす全ての試験を同定し、結果を解析した。対象としたのは、近視の進行や発症の抑制を目的として子どもの屋外活動時間を増やす介入をしている5つのランダム化比較試験で、研究には1万733人の小学生が参加した。
解析の結果、屋外活動の時間を増やした場合の近視の進行については一貫した結果が得られず、近視の進行抑制については結論が出なかった。一方、屋外活動の時間を増やした群の近視の発症率は、時間を増やさなかった群と比べて、1年後で2.4%、2年後で4.2%、3年後で9.3%低かった。このことから、発症予防の効果は期待できることが分かった。
研究対象としたランダム化比較試験での介入方法には、「授業に屋外活動を取り入れる」「休み時間に屋外で過ごすことを習慣づける」「屋外活動を促す動機づけとなるようなツールを配布する」などが含まれている。今回実施したシステマチックレビューに日本からのデータは含まれていないが、介入方法には日本で取り入れられるプログラムもあり、今後、国内においても研究が進むことが期待される。
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