東京大学は、神経細胞と人工細胞のバイオハイブリッド実験を簡素化するツール「BiœmuS」を開発したと発表した。簡単かつリアルタイムのクローズド(閉)ループ実験が可能となる。
東京大学は2024年6月21日、神経細胞と人工細胞のバイオハイブリッド実験を簡素化するツール「BiœmuS(バイオエムス)」を開発したと発表した。簡単かつリアルタイムのクローズド(閉)ループ実験が可能となる。ボルドー大学、ジェノバ大学との国際共同研究による成果だ。
BiœmuSは、神経細胞の活動をリアルタイムで解析して理解し、特定の神経活動パターンに応じた刺激を神経細胞に与えることで操作する。生体システムのリアルタイムエミュレーションが可能になり、神経ネットワーク動態の詳細な調査やモデル化を可能にした。一連の作業を簡便にでき、また低コストで柔軟性が高く使いやすいという特徴も持つ。
実験では、一般的な電極インタフェースに加え、生体内と生体外の神経細胞を用いてバイオハイブリッド実験の実現可能性を示した。まず、2つつなげた大脳オルガノイドの活動ダイナミクスを簡便にモデル化した。さらに、片方の大脳オルガノイドから神経活動を計測し、その活動に応じた刺激をBiœmuSを介してもう片方のオルガノイドに与えるという閉ループ実験にも成功している。
生体由来の神経細胞と電子機器上で生体を模倣した人工神経細胞のバイオハイブリッド実験が容易に実施できるため、次世代の神経プロステーシス(補綴)開発への貢献が期待される。
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