製品評価技術基盤機構、岐阜県食品科学研究所、金蝶園総本家は、酒まんじゅうの製造に使用する酛から、発酵に関与する酵母や乳酸菌などを分離した。分離した微生物の一部は、製品評価技術基盤機構が国内のユーザーに提供する。
製品評価技術基盤機構(NITE)は2024年6月11日、伝統の酒まんじゅうの製造に使用する酛(もと)から、発酵に関与する酵母や乳酸菌などを分離したと発表した。また、NITEバイオテクノロジーセンター(NBRC)は、伝統的な微生物を用いた新たな食品開発を支援するため、分離した微生物の一部の提供を開始した。岐阜県食品科学研究所、金蝶園総本家との共同研究による成果だ。
日本酒造りの「もと」となる酛は、酵母を育てるために水、米、麹(こうじ)を混ぜて発酵させている。酒まんじゅうでは皮に酛が使用され、香りの要因となる。
今回の研究では、酒まんじゅう酛に存在する微生物の菌叢解析を実施し、発酵に関与すると推測される菌株を分離した。その結果、酒まんじゅう酛には、酵母はSaccharomyces cerevisiaeがほぼ唯一の種として存在することが明らかとなった。また、Saccharomyces cerevisiaeの複数の株は、それぞれ異なる発酵特性を示していた。乳酸菌については、多様な種が存在していた。
分離した各微生物株の特性や各機関の事業目的を考慮し、NBRCは岐阜県食品科学研究所と金蝶園総本家とは別の株を保有している。NBRCの所有するSaccharomyces cerevisiae 6株と乳酸菌8株は、国内のユーザーに提供する。
岐阜県食品科学研究所と金蝶園総本家が所有する微生物株は、引き続き酒まんじゅうの高品質化に役立てられる。さらに、岐阜県内企業との製品開発への活用も検討される予定だ。
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