名古屋大学は、ミネラルの1種テルルの体内濃度が高い人ほど、高血圧の有病率が増加することを明らかにした。穀類と豆類の摂取頻度が高いほど、尿中のテルル濃度が高いことが示された。
名古屋大学は2024年5月28日、ミネラルの1種テルル(Te)の体内濃度が高い人ほど、高血圧の有病率が増加することを明らかにしたと発表した。藤田医科大学らとの共同研究による成果だ。
テルルは、穀類や豆類に含まれていることがあるミネラルだ。日本在住の成人2592人の尿中のテルル濃度を分析したところ、濃度の増加に伴って収縮期血圧と拡張期血圧が上昇し、高血圧有病率も増加していた。
食事摂取頻度と尿中のテルル濃度の関連性を調べると、穀類と豆類の摂取頻度が高いほど濃度が高いことが示された。他の食品群と比べても、穀類と豆類の摂取が尿中テルル濃度に大きな影響を与えることが分かった。
一方で、穀類と豆類の食品摂取は、テルル以外の要因を含めた高血圧リスクを高めることはなかった。つまり穀類や豆類が、テルルとは逆に高血圧リスクを緩和する作用を持つ成分を含む可能性を示している。
今回の成果は、穀類や豆類など特定の食品摂取に関する高血圧リスクを提案するものではない。しかし、食品に含まれるテルルで高血圧リスクが上昇する可能性を示したものとなる。今後、高血圧予防のため、個別の食品に含まれるテルル濃度を慎重かつ継続的にモニタリングする必要があるとしている。
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