それでは早速、C社におけるAMの品質保証について見てみましょう。まずは、不良を発生させない方法を考えていきます。
とはいえ、テーマが広範すぎて考えづらいですよね。そこで、C社のAM部品ができるまでの工程図から考えていきましょう。
物が出来上がるまでにいろいろな工程を通りますね。では、物が不良だったとして、その不良はどの工程から発生する可能性があるかと考えると、どの工程からでも発生する可能性があります。どの工程から不良が発生しても、物は不良になってしまいますから、全部の工程をちゃんとする必要があります。
例えば、造形工程から不良が発生するとしたら、理由としては何が考えられるでしょうか。これもさまざまな場合が考えられるので、故障の木解析(FTA)や、特性要因図(魚の骨)を使って考えるのがおすすめです。
例えば、造形工程で内部に異常な空隙(ス)が発生したという不良の原因や理由の解析、対策案を特性要因図で考えてみましょう。
このような形で全工程に対して、
としていくことで、不具合を発生させない仕組みを作ることができます。やり方を決めて、自分だけ覚えておいたのでは「ちゃんとして」いませんよね。ここで、決めたやり方や、やった結果を記録するための文書作成という活動が発生することになります。
不良をお客さま(最終的にはエンドユーザー)に流出させないためにはどうすればいいでしょうか。C社は最後に検査してはじけばいい、ということで、お客さまであるB社に納品する直前の検査工程を品質ゲート(不良を通さない品質の門、下図のオレンジの●)にしたとします。
しかし、これでは品質ゲートで不良が見つかった際、どの工程に問題があったのかを追跡するのが大変です。工程を一つずつさかのぼって原因探しをしなければなりません。
そこで取られる方法が、自工程完結とも呼ばれる、各工程間に品質ゲートを設定するやり方です。
このやり方では、各工程がそれぞれ
を知っています。つまり、前の工程から良品が入ってきたことを確信して自分の工程を実施し、自分の工程から良品であると確信した物だけを、次の工程に渡すのです。こうすれば不良が発生した場合の原因追跡と対策が容易になり、やり直しが発生する際も手戻りが少なくて済みます。
この仕組みを実現するのにも、先ほどと同様に、「この工程はどんなことをする工程か」「この工程に入ってくるものは何か」「この工程が成功したといえる判断基準は何か」というものを決めて文書にしておく活動が必要になってきます。
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