国内での開発/製造一体体制により強みを発揮する三菱電機のエアコン事業。その中心拠点である三菱電機 静岡製作所のモノづくりの強みについて紹介する。
為替やサプライチェーンの問題などで白物家電の国内生産体制強化の動きが強まっている。こうした流れの一方で、以前から国内での開発/製造一体体制にこだわり、国内向けの全製品を静岡製作所(静岡市駿河区)で開発し製造してきたのが三菱電機である。創立70周年を迎えた三菱電機 静岡製作所のエアコン事業について、そのモノづくりの強みについて紹介する。
三菱電機の静岡製作所は1954年4月に「名古屋製作所 静岡工場」として設立された。創業当時からルームエアコンの生産を開始しており、小型エアコン第1号となる「ウインデヤ」を発売している。その後1967年に現在も続くブランドであるセパレート型エアコンの「霧ヶ峰」を展開している。その後、群馬製作所の給湯事業が静岡製作所に移管され、群馬工場の一部を静岡製作所において管轄している。敷地面積は20万6246m2で、従業員数は6750人(静岡が5800人、群馬が950人)となっている。
静岡製作所では、ルームエアコンやパッケージエアコンの他、冷蔵庫、空調および産業用圧縮機、ヒートポンプ式暖房給湯システム(Air To Water)、給湯システム機器(群馬工場生産)などの開発と生産を行っている。
その中でも主力となっているのが、ルームエアコン事業だ。ルームエアコンは静岡製作所の創立以来、高付加価値モデルからスタンダードモデルまで国内向けの全製品を国内で生産している。現在までの出荷数は、ハウジングエアコンを合わせると約4400万台に達する。
企画から設計/開発、生産、販売、サービスまで関わる全ての部門を静岡製作所内に集約しており「顧客のニーズを製品開発に早期に反映し、タイムリーに市場投入を図ることができる点が強みだ」と三菱電機 静岡製作所 所長の小野達生氏は述べている。
その中で社会課題を捉え、これらに対応して生まれるニーズに応える製品開発を推進している。空調事業領域に関連する社会課題から生まれているニーズとしては、カーボンニュートラルの推進や電気代高騰に対する省エネや節電ニーズ、2024年問題に対する施工などの省人化や省力化のニーズ、コロナ禍以降に生まれた換気や空気清浄、清潔などへのニーズなどがあるとする。ルームエアコンでもこれらの「省エネ性」「省力化/施工性」「快適性」「清潔性」などの機能強化を進めている。
省エネ性や快適性では、三菱電機製の高効率モーターを搭載し消費電力を抑えて高いパフォーマンスを実現している他、赤外線センサー「ムーブアイ」やバイタルセンサー「エモコアイ」を搭載し2つのセンサーで快適性と効率性の両立を実現している。また、施工性や省力化としては工事事業者が簡単に取り付け、メンテナンスなども行いやすいような設計をしている。清潔性では、油やほこり汚れに強いデュアルバリアマテリアルを採用した他、ハイブリッドナノコーティングを採用し、内部に汚れが付きにくいようにしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.