日本電気硝子は、特殊な加工技術によりガラス表面にnmサイズのテクスチャーを形成し、タブレット端末で紙のように絵が描ける微細凹凸形成技術を開発した。
日本電気硝子は、「電子機器トータルソリューション展」(2024年6月12〜14日、東京ビッグサイト)内の「JPCA Show 2024」に出展し、微細凹凸形成技術を参考出品した。
微細凹凸形成技術は、特殊な加工技術によりガラス表面にnmサイズのテクスチャーを形成する。これにより、タブレット端末の書き心地や触り心地の改善、膜密着性の向上、ぬれ性の制御、防眩(ぼうげん)効果の付与などを実現する。
タッチペンを用いたタブレット端末の書き心地や触り心地の改善に関して、微細凹凸形成技術を適用したガラスを用いることで、適度な滑り心地を実現し、正確な手書き入力が可能となる。日本電気硝子の説明員は「微細凹凸形成技術により摩擦を制御したガラスを備えたタブレット端末は紙のような書き心地でイラストなどを描ける。目指したのはボールペンで紙に絵を描くような、慣れ親しんだ感覚だ。専用の樹脂フィルムをタブレット端末の画面に貼り書き心地を変えるという手法もあるが、同フィルムの耐久性に課題があり1カ月程度で交換する必要があった」と話す。
膜密着性の向上については、微細凹凸形成技術を施したガラスは金属膜などの密着性を向上させられる。同社は微細凹凸形成技術を施したガラスの膜密着性を評価するためにISO2409に準拠したクロスカット試験を行った。クロスカット試験では、表面にアルミニウム膜を設けた微細凹凸形成ガラスと未加工ガラスの上にテープを貼り、剥がすことでこの膜がどれだけ剥離するかを調べた。その結果、微細凹凸形成技術を施したガラスは剥離無しで、未加工のガラスは多数の剥離が生じた。
ぬれ性の制御では、微細凹凸形成技術と撥水性を組み合わせることで、透明性を維持したまま、高い撥水性をガラスに付与できる。
日本電気硝子の説明員は「現状はラボ設備しかないので微細凹凸形成技術の量産には対応できないが、2025年に量産設備を導入する予定だ。ターゲットとして、タブレット端末のメーカーやタブレット端末画面用の樹脂フィルムを製造しているメーカーなどを想定している」と語った。
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