電気興業は、「5.7GHz帯を使用した空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム」の実用化につながる基礎技術を開発した。ビームフォーミング機能を活用することで、受信アンテナを追従しながら電力伝送ができる。
電気興業は2024年6月1日、同社が進めている「5.7GHz帯を使用した空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム(WPT)」の研究開発について、実用化につながる基礎技術を開発したと発表した。鉄道模型を用いた同技術の実証実験では、安定的に電力の伝送ができることを確認した。
同システム向けに開発したのは、5.7GHz帯WPT送信アンテナのビームフォーミング機能を活用し、受信アンテナを追従しながら電力伝送を可能にする技術だ。電池とケーブルを使わず複数の機器へ給電できる技術として実用化が期待されており、総務省はWPT向けの周波数として920MHz帯、2.4GHz帯、5.7GHz帯を割り当てるなど、WPTの普及の動きが加速している。
実証実験では、5.7GHz帯WPT送信アンテナのビームフォーミング機能を活用し、±20度のビーム可変をすることで、鉄道模型の受信アンテナを追従した。受信アンテナ4基が約2W(1基あたり約0.5W)の電力を受電したことで、安定的に電力の伝送ができることを確認できた。
同社はまた、2022年度からの4カ年計画として総務省に採択された、「5G準ミリ波との共用技術」の研究を推進している。WPTによる送電中も5Gシステム性能を維持する技術で、5GとWPTが共存する利用環境の提供が可能になる。これらの基礎技術をもとに研究開発を進め、波資源の拡大と周波数の有効利用への貢献を目指す。
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