工場の現場改善を定量化する科学的アプローチを可能にする手法を学習する本連載。第8回は、物流改善に着目し、「物流分析」「積載効率の分析」「物流コストの分析」について説明します。
コスト低減活動といえば、直接作業の改善に目がいきがちですが、今回は、物流改善に着目して、「物流分析」「積載効率の分析」「物流コストの分析」について説明していきます。視点を変えればまだまだコスト低減のネタは尽きません。
社内外のあらゆる場面で発生する物流におけるデータの分析は、物流自体の効率や全体の生産性を高めるために重要な意味を持ちます。ここからは「物流分析」で得られる効果や、効率的なデータ活用のポイントなどについて説明します。
物流に関するデータは、工場運営のあらゆる側面に関わる大量のデータで現されます。例えば、運送ルートや配送スケジュール、在庫管理、伴うコストなどが挙げられます。これらの各種のデータを収集し分析を行うことで、次のような成果を得ることができます。
生産拠点から倉庫への搬送、在庫の状況、生産進捗の状況などを把握することができます。これらの高い精度のデータを活用することで、全体最適の物流を実現することに役立てることができます。
物流に関するデータの分析を行うことで、工程(Flow/Process)や作業(Work)に対して定量的に評価を加えることが可能となり、現状の生産性や物の流れの状況を数値として把握することができます。例えば、作業の自働化が可能となる工程を見極めてコスト低減を図ったり、効率的な物流システムを実現したりといったことに役立てられます。
日々の各所の物流データの分析を行って、製品の動きをリアルタイムで把握することにより、高い精度で将来的な予測ができるようになります。それにより、経営資源の投入や経営効率の向上などに活用することで利益の増大が図れます。
物流のデータ分析結果を効果的に活用するためには、以下のポイントに留意してデータの収集やデータの分析を行うことが大切です。
物流データを活用する目的を明確に設定して、適切なデータの収集方法やデータの分析方法を決めることが大切です。あらかじめ目的が設定されていなかったり、不明確な目的設定であったりすると、データの収集方法や分析方法の選択を誤る結果を招きかねません。
BIツールは、企業が保有する膨大なデータを集約し、データの分析結果に基づいて経営判断に活用するためのツールのことです。このBIツールを導入して物流データを統合的に分析すれば、より高い精度で意思決定するための情報が得られます。
目標達成までの期間限定で物流データの専門的な分析を行うチームを組織し、効果的な活用を図ることも一案です。得られた物流データの活用によって、効率的な物流システムを実現し、企業としての競争力を向上させることができます。
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