日立産機システムが配電用変圧器事業の戦略について説明。カーボンニュートラルへの対応で年率50%増で需要が高まっているアモルファス変圧器を強みとしながら、2024年4月に発表した三菱電機の配電用変圧器事業の買収を着実に進めるなどして、国内におけるマーケットリーダーの地位を確実に築き上げていく方針である。
日立産機システムは2024年5月21日、中条事業所(新潟県胎内市)において、配電用変圧器事業の戦略について説明した。カーボンニュートラルへの対応で年率50%増で需要が高まっている電力損失の少ないアモルファス変圧器を強みとしながら、同年4月に発表した三菱電機の配電用変圧器事業の買収を着実に進めるなどして、国内におけるマーケットリーダーの地位を確実に築き上げていく方針である。
売上高約3000億円の日立産機システムの中で、空気圧縮機を手掛けるコンプレストエア事業に次いで規模が大きいのが、変圧器や受変・配電システムを扱うグリッドエッジ事業であり、同事業の中核工場となるのが中条事業所である。日立産機システム 事業統括本部 受変電・配電システム事業本部 配電システム事業部長 兼 中条事業所長の藍原和哉氏は「当事業所は、かつての亀戸工場(東京都江東区)が移転してきたことで知られ、2024年は50周年を迎える」と語る。
中条事業所の従業員数は、製造機能を担う子会社の日立産機中条エンジニアリングを含めて約700人。広さ51万6000m2の敷地内に4つの建屋があり、日立産機システムのさまざまな製品を生産しているが、売上高比率で72%を占めるのが配電用変圧器である。
電力会社の発電所から出る電力の電圧は数十万Vに達するが、この電力を使いやすいように変電所で電圧を下げていく。日立産機システムが手掛ける変圧器は、電力の最終ユーザーであるビル、公共施設、工場、データセンターなどの需要家に向けて数千Vまで下がった電圧をさらに数百Vに落とす配電用変圧器である。
発電所から需要家までに電力を送る過程で損失が発生するが、配電用変圧器が用いられる需要家向け変電所の割合は大きい。2019年度の発電所から需要家までの総損失は645kWhだったが、その約35%に当たる230kWhが需要家向け変電所の損失だった。
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