経済産業省と国土交通省は令和6年度モビリティDX検討会を開催し、「モビリティDX戦略(案)」を発表した。
経済産業省と国土交通省は2024年5月20日、令和6年度モビリティDX検討会を開催し、「モビリティDX戦略(案)」を発表した。
自動車産業ではGX(グリーントランスフォーメーション)とDX(デジタルトランスフォーメーション)の2軸で産業の構造変化が進んでおり、GXに関しては「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」(2021年6月改定)や、分野別投資戦略(2023年12月策定)によって自動車産業の戦略が定められた。イノベーション促進や国内の生産拠点の確保、GX市場の創造に関してグリーンイノベーション基金などを活用した研究開発支援や、各種補助金などの施策パッケージが展開されてきた。
自動車産業のDXに関しては、自動運転技術の社会実装に向けた目標設定など個別の実証が進んできたが、デジタル技術の進展に伴ってDXはGXと並ぶ大きな競争軸になると見込む。人口減少、事故や渋滞による経済損失、物流の2024年問題、カーボンニュートラルの実現といった社会的な要請や、さまざまなユーザーニーズといった需要面の変化も自動車産業のDXを後押しする。これを踏まえて、官民の議論により2030〜2035年に向けた“勝ち筋”となるDX全体を貫くモビリティDX戦略を策定する。
モビリティDX戦略は、ソフトウェアデファインドビークル(SDV、ソフトウェア定義車両)、自動運転技術やMaaS(Mobility-as-a-Service、自動車などの移動手段をサービスとして利用すること)などの新たなモビリティサービス、企業の枠を超えたデータの利活用などを取り上げる。
自動車産業のDXにより、自動車産業にはバリューチェーンの変化によるビジネス領域の拡大や、競争と協調の在り方など産業構造の変化が起きると見込む。特に大きなゲームチェンジが起きるとみられるのが、(1)車両の開発と設計の抜本的な刷新、(2)自動運転技術やMaaSによる新たなモビリティサービスの提供、(3)データの利活用を通じた新たな価値の創造、の3領域だ。
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