三井海洋開発と日揮ホールディングスの子会社である日揮グローバルは、日本企業で初めて操業中の浮体式海洋石油・天然ガス生産貯蔵積出設備におけるメタンを含むGHG排出量の正確な把握に成功した。
三井海洋開発は2024年5月2日、ブラジル沖の浮体式海洋石油・天然ガス生産貯蔵積出設備(Floating Production, Storage and Offloading system:FPSO)で、温室効果ガス(GHG)排出量の定量化に成功したと発表した。日本企業としては初めて、操業中のFPSOで、メタンや一酸化二窒素、代替フロンなどの主要なGHGの排出量を正確に測定、把握した。
プロジェクトは、日揮ホールディングスの子会社である日揮グローバルと共同で、2023年7〜9月に実施。リオデジャネイロの沖合で三井海洋開発がチャーターする2隻のFPSOで計測し、メタンを含むGHGを把握した。
具体的には、手持ちセンサーや赤外線カメラを使用したボトムアップ手法と、センサーを搭載したドローンで上空から計測したトップダウン手法という2つの計測手法を組み合わせた。ボトムアップ手法では、FPSO内で約1万5000カ所に及ぶメタン排出の可能性がある部分を計測。トップダウン手法では、ドローンがFPSOの周りを飛行することで、プラント全体の排出の俯瞰的な把握を進めた。
その結果、従来の一般的な係数を用いたデスクトップ算定では難しかった、メタンなどの排出量を高精度で把握できた。加えて、複数の計測技術を活用することで、信頼性の高いメタン排出量把握の手法を構築した。FPSO内での詳細なメタン排出箇所を特定できたことから、今後、具体的な排出削減対策を講じることが可能だ。
プロジェクトで適用した手法は、メタン排出削減に向けた国際組織「石油・ガスメタンパートナーシップ 2.0(OGMP2.0)」の報告フレームワークで最高水準となるLevel-4、Level-5の要件を満たしたものとなる。同社は今後、GHG排出量算定の精緻化や排出量データの開示範囲拡大に加え、OGMP2.0に適合した排出量定量化の提供などに取り組むとしている。
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