住友化学は、CO2からメタノールを高効率に製造する技術の実証に向けたパイロット設備を愛媛工場(愛媛県新居浜市)に新設し、運転を開始した。
住友化学は2023年12月12日、CO2からメタノールを高効率に製造する技術の実証に向けたパイロット設備を愛媛工場(愛媛県新居浜市)に新設し、運転を開始したと発表した。
今回の設備は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション(GI)基金事業の助成を受けて建設された。今後は、2028年までには実証を完了し、2030年代の事業化および他社へのライセンス供与を目指していく。
CO2を回収利用する技術(Carbon Capture and Utilization、CCU)は、地球温暖化防止や炭素循環型社会実現のための「切り札」として、その開発と普及が期待されている。特に、プラスチックや接着剤、薬品、塗料など、多様な製品の原料であるメタノールをCO2から製造する技術はCCUの代表的な存在だ。
しかしながら、従来のCO2からのメタノール製造には、原料から生成物の方向と生成物から原料の方向へ同時に進行する可逆反応が使用されていたため、収率の低さや副生する水による触媒劣化といった課題があった。
そこで、住友化学は、島根大学 総合理工学部 教授の小俣光司氏が研究を進めてきた内部凝縮型反応器(Internal Condensation Reactor、ICR)に着目し、共同開発を進めることで、これらの問題を解決した。ICRでは、既存技術では難しかった反応器内でのメタノールや水の凝縮分離が可能で、これにより、収率の向上、設備の小型化、省エネルギー化につながるとともに、触媒劣化の抑制も期待できる。
加えて、現在GI基金事業で6つのテーマ(ケミカルリサイクル技術4テーマ、CO2分離膜、正極材リサイクル)で採択を受けている。さらに、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、革新的な製造プロセスの研究開発、実証、社会実装を進めることで、サステナブルな社会の実現に向けて貢献していく。
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